つれづれのおと

ディアマイロックスター

STAY ALIVE

聴きました、brainchild'sのニューアルバム。わたしがファンになってから初めてのフルアルバム、単純に嬉しい。そして毎日これでもかとリピートしてるけど、飽きない。
曲の一つ一つがカッコよくて、おいおいなんだよこのアルバムー!わたしの好きなミュージシャンの方がこんなアルバム作ったの!?すごくね!?みたいな謎の感慨が再生するたびに沸き起こります。や、だからこのひとのことを好きなのだろうけど…
ライブも楽しみ。ものすごく楽しみ。
だけど、生で聴いてちょっと印象が変わっちゃう前に、アルバムについての感想やら、ちょこっとググったことやら、ぽろぽろ現れる「書き残しておきたいこと」が湧いては増えてしまい。さらに、書き綴る中で生じた疑問やら、ここ何か言ってた気がする!みたいなことについて、雑誌、ラジオ、ネットの記事までちゃんと振り返りたくなってしまって、自分でも本当にヤバいと思うんだけど、できる限りそれらをさらい直していちいち抜粋して書き留めるまでに至っていた。そのメモは到底外に出せるものではないけど(なんせ手書きである)、なんとなくこの初期衝動をまとめておきたく…。
発言は引用とも言えないほどフワッとした感じに付け加えてるのでアレですが大意は変えてない、つもり。以下、いつも以上に(と、いつも言っている気がする)偏ったり思い込んだりしてる感満載の本当に自分用メモです。


1.Better Day to Get Away
カッコいい。以上。
長くなるという前置きでそれか、と言われそうですが、や、本当にカッコいいんですこの曲…。
初めて聴いたのはえぶぶい(MV)のTV放送の時で、それまでラジオでもなるべく音の情報を遮断してたので、聴いていいものか迷いつつテレビの前で固唾を飲んでいたら、冒頭のギターリフにガツンと頭をやられました。それ以来毎日繰り返し繰り返し見ております(現在進行形)。
Pはこの曲を「(聴く人を)引きずり込んでやる」という意識で書いたと仰っていたけど、まんまと引っかかりました。お友達とオトトキDVDの上映会をやった時も「ちょ、ちょっともう一回…」などとおねだりして5回くらいえぶぶい見た。ごめんなさい。
アルバムの曲が出揃ってきてから、こんな曲が欲しいと思って書いたとはPの弁。さわおさんやあべどんさんも同じようなこと仰ることあるけど、大体そう言う曲って穴埋めじゃなく絶妙にアルバムを彩る曲だよなあ。その慧眼と、こういうのが欲しいっつって作れる能力がまたすごい。
エレキギターのリフはもちろんカッコよくてロック!!って感じなんだけど、バッキングがガットギターなのが面白い。それでなんとなくラテンな雰囲気が加わって、なおかつギターソロでベンチャーズみたいな(サーフロックと言うのでしょうか)フレーズが入るのも面白い。と思ってたら、もともとガットギターで作った曲だったのだそうで、仮タイトルも「ガット」だったと。なるほど、メインはエレキなイメージだったけど、逆だったのか。
アルバム全体に言えるのだけど、サウンドは若く青く瑞々しくて、だけどその中に、50代であるPの音楽遍歴に基づいた要素が絶妙なバランスで練りこまれているから、通り一遍の刹那的な格好よさだけじゃない味があるのだ、と思う。多分Pと同世代の人はニヤリとできて、それよりも若い人たちは「聴いたことない、なんか新しい!」と感じるんじゃないかなあ。年齢不詳のアルバム、とはよく言ったものだ、と。
 Aメロからのタム回しがめちゃくちゃ好きです。おんたん、見た目は金髪で派手っぽいけど、ドラムはすごく真面目でクレバーというか、すごく他の楽器に寄り添うというか、曲を引き立たせることを考えてる気がするなあ、と。それがどっかの長髪のドラマーさんも彷彿とさせるような。
歌詞については音人で「良かった時代(=本家のバンドを休止しているメンバーについては、元のバンド時代も含めて、という意なのかな)が逃げて行くことへの切なさも感じる」みたいにライターさんから言われていたのが印象的でした。個人的には「少しでもマシな光浴びたくってさ」というところに、Pやわっちさんの言う"怒り"(多分、何かに対して怒るということだけでなく、自分の中でどうしようもなくくすぶるもどかしい気持ちも含むのだと思う)が現れていて、なおかつそれがPが引き出したかったわっちさんのロックな部分なのかな〜と思って聴いてたけど、インタビューでもそんなこと仰ってた。けど、そんな怒りのエネルギーだけでなく、そこに切なさを伴うというのが、メロディのなせる技なのかそれとも歌詞から滲み出るのかわからないけど、ただただ抑圧から逃れようとする10〜20代の若者のそれとは一味違うな、と思ったり。ある程度色んなことを経験してきたから、勢いで逃げるだけじゃ解決しないことを知っていて、でもくすぶってるままじゃ自分はここでおしまいかもとも思うから、少しでもマシな場所に行きたい、という切実さというか。だからこそ、ただ盛り上がって終わりではないというか、余韻が残るのかなあ。
「アイガラゴー」は「I gatta go」かな、「急いでるんだ!」という口語。わっちさん曰く、英語を元にした擬音語をたくさん入れたかったとのこと。「グレイハウンドバス」はアメリカ最大規模のバス会社、またはその会社の長距離バスのことだそうで。"バス"と"花嫁が逃げる"というワードだと映画「卒業」のラストシーンが思い浮かぶなあ、とか。
それから「空に瞬く」「闇へと誘う」誘導灯って、非常口のイメージで書いたそうだけど、星のようにも感じるなあ、なんて。わっちさんはラジオでよく、ブレチャは自分を上のステップへあげてくれるもののひとつというように仰るけれど、誘導灯がつまりそういうものなのであれば、イエローモンキーのStarsとも繋がるかもなあ…と。
話戻るけど、えぶぶいもえっらいかっこいいです。シンプルながら演奏やパフォーマンスのおいしい部分を見事に切り取ってる。パンしながら横並びの4人を順に写していくカットも、Pとわっちさんのデュオのようなツーショットも新鮮だし、エレキとガットを弾くPを一画面におさめようという発想については圧倒的感謝しかない。最後のカットで弾き終わった勢いでシュッと手を下ろす仕草までものすごくかっこいい。メンバーの姿を拡大したり縮小したりも面白いなあと思ってたのだけど、スマホとかで見てるイメージなんだとか。納得。
勝手な兼ファンのアレで、アルバム全体としてなぜかピロウズみを感じてしまうのだけど、このえぶぶいもしかりで、PIED PIPERとNew Animalみたいだー!と勝手に興奮しました。似てるとかパクリとかでなく、雰囲気がリンクしてる感じ。どちらも唯一無二の音楽をやってると思うけど、なんか嬉しい。


2.Twisted Shout
これもまたかっこいい。ツツミカクサズでのコメントを聞いてるとPの推し曲のひとつなのかなあ。あれを語るPはとても誇らしげで可愛かった…。
この曲も昔にあったような(80年代の音楽がテーマらしい)、けれど新しいような感じにメロディが不思議な動きをするんだけど、わっちさんが見事に歌い上げている。渋い。Twisted〜というタイトルのごとく、アップダウンしながら螺旋を描くようなサビのベースラインもかっこいい。
歌詞の情景もあいまって、ハードボイルド映画のワンシーンみたいなイメージがあります。わっちさんの歌詞はそれでなくとも映画のようだなあといつも思うんだけど、情景や心情を具体的に描写しすぎてないから想像の余地があってそれがまた楽しい。
「マスカレード」は「仮面舞踏会」という意味。わっちさんのいつもの英語発音じゃなくしっかり「ド」まで発音してるのがなんだか新鮮だった。舞踏会から裸足で抜け出すってシンデレラみたいだなあ。チャイナガールだけど。あと砂の塔のえぶぶいの女の子も思い出したり。


3.地獄と天国
冒頭からうおー!と思いました。Major codeに入ってそう!や、後退してるという意味では全然なくて、ぱかーんと開けてる感じ、イントロから。ドラムがかっこいい!あとぎゅううううっていうグリッサンドも。
で、Pの歌。あれ、上手くなってませんか!?という謎の上から目線…ごめんなさい…いやでもPILOTの「白と黒」より、曲調もあるかもだけど、声に一本芯が通った気が。笑い声に関してはなんかこう、嘲笑とかあまりしたことないひとなのだろうな、と心がほわっとしました(?)。ライブだとどうなるんだろう、楽しみ。
この曲のベースラインがとても好きです。神田先生のベースってヒーセさんがよく言われてる"バリトンギター"に近い気がするけど、でもどっちかというとやっぱりベース寄りというか。でもその安定感がカッコいいなあ、と。
歌詞に関してはPが、昔は感じた怒りや悲しみをそのまま出していたけれど、最近は音楽的に遊べるようになった(途中で笑うのも含めて)、と仰っていたのが印象的。その辺の変化はどうして生まれたのかなあ…と思ってインタビューをあさっていたら、今の7期メンバーとやっているうちにそれもできるかな、「面白いならいいか!」みたいに思えるようになった、ということらしい。このメンバーへの信頼がどこまでも厚い…。
地獄が悪いところで天国が良いところかというと決して万人にとってそうではないかも、なんて言うと天邪鬼って言われそうだけど(Pも自覚されてるけどw)、映画「トゥーヤングトゥーダイ」のようですごくグッときたのでした。
で、またアウトロのギターがかっこいいったら!今作ではギターを弾き倒したとのPの言の通り、ギターが歌いまくり。


4.Rain Stain
タイトルを見たからというのもあるけど、イントロのアルペジオから「あ、雨」と空を見上げたくなるような曲。
これ、ものすごく好きです。メロディの切なさ、わっちさんの「スモーキー」と言われるハスキーな声、叙情的なベースラインとサビのタム回し、余韻を残すハイハット。全てがPの曲によく宿っている(と、わたしが勝手に感じている)湿度を見事に再現している。
PANGEAに入ってる「Umbrella Flower」みたいだなあ、と思ったらどうやらそれの第2弾として書いたらしい。あの曲も大好きなのでなんだか嬉しい。Pの表現する雨って、ポツポツでもザーザーでもなく「しとしと」なんだよなあ。
「baby's in gray」はビートルズの「baby's in black」をもじったのでしょうか。グレーのコートに雨粒が落ちて黒い染みになってゆくのが、かなしみに侵食されていくようでもあり。人々は降り出した雨で散って行くし、雨染みのように悲しみも沁みてゆくけれど、だからこそ晴れ間が見えただけで(体はずぶ濡れのままでも)、救われた気持ちになる。そんな歌詞が「Umbrella〜」とも通じる気がしてきゅっとします。
ちなみにこれ、Pはモンキーに持っていってもいいと思っていたそうな。わっちさん、相当なプレッシャーだったろうに…でもそれを見事に打ち返してる。純粋な興味として、あの4人で、吉井さんの歌と詞で聴いてみたい気もするけど、やっぱりこの曲はもうこの曲だなと。
「刻々、Black Blackと刻まれるDots Dots Dots」という部分なんて、軒下から落ちる雨垂れのようなスタッカートがものすごく渡會節。そして歌詞の書き方として、一番言いたいことがあるところで音が高くなったりするからそこにアツい単語を入れるということを考えてらしたようで。「何一つ俺たちを貶めはしない この悲しみでさえも」という部分の歌と詞が、やっぱり"怒り"だなあと。しびれる。
どっしりとしたタムにのせて歌われる「熱い"紅茶"を飲みに行かないか」というところが好きです。コーヒーじゃなくて紅茶。コーヒーってすごくメジャーな飲み物だしこういう時よく使われるけど、実際、苦いし人を選ぶ飲み物というか…まあ単にわたしが飲めないだけなんだけど、紅茶の方が悲しみで冷えきった体を温めるには適した飲み物な気がするのです。成長してから知る大人の味ではなく、昔からある程度馴染んでいる=ほっとしやすい温度と味というか。まあそれも人それぞれなのでしょうが。


5.Higher
一聴して、これ神田先生好きそうだなー!と思ったら本当に好きって仰ってたので笑った。や、なんだか壮大な感じが。
はいでぃーほー!って英語でヤッホー!だと思ってたけど、本当のスペルは「hi-de-ho」らしい。:▽:みたい。歌詞ではなんで「di」にしたのかなあ…と検索してみたら、そういう歌やアルバムがあるのですね。ジャズとかスウィングとかの曲が引っかかったので、響きを大事にしてそういうとこからとったのかなあ、と。
AメロBメロの、なだらかに飛んでいる飛行機のプロペラのようなギターが好きです。これもピロウズのぴーちゃんぽい…。
ライブで(お客さんも含めて)みんなで歌いたい、とPは仰っていたけど、なんか割とそういうの厭わないんだなあと思った。もちろん、曲によりけりだろうけど。コーラスもせーので全員で歌って録ったそうで、全員でできることが結構楽しい、逆にちゃんとしたバンドでないからこそ面白みが出るとのPの言に、雑味やマーブル模様を楽しめる度量というか感性を感じるのでした。
アイソレーション」は「分離・独立・孤立」という意味だけど、「山頂のアイソレーション」と言うと「山頂と同じ高さの地点のうちで山頂からの大円距離が最も小さい地点までの距離のこと(ウィキより)」だそうで。つまり、アイソレーションが大きい=孤高の存在、みたいな感じかな。背の高い誰かさんのシルエットが思い浮かぶような。


6.TWILIGHT
レトロカッコいい!ヴィヴラスラップの音はもちろん、どことなく歌謡曲ぽい懐かしさを感じる歌い方や手拍子に、洋楽っぽいサウンドや「golly!(おや!まあ!みたいな感嘆詞らしい)」なんて英語が混じるのが新鮮。なんとなく、金色のDNA生きてるなあ、と思ってしまったり。
歌詞のモチーフにしたのは、夏を求めて旅をするサーファーだそうで。しかもそこまでたどり着くのに、まず曲を聴いて、サーフサウンドなのにマイナーコード使ってるのはどうして?→あ、ウエストコースト(=日が昇るのではなく沈む方を向いているビーチ)だからか!などと自分の中のイメージから膨らませていくようなのだけど、そんなことに考えが至るわっちさんの勤勉さと引き出しの多さと思考力がすごい。その力量を信じて曲を渡しているところもあるのだろうなあ。直接どんなイメージかPに聞かないあたり、いばらの道を行くなあと思うけど、その過程はきっと血肉になってると思う、なんて。
そして「Better Day〜」とこの曲は今のメンバーでやるために作った曲だそうで。PILOTの時にもう録ってたって曲もこれなのかなあ。何かから逃げてもっと良いものを求める前向きな気持ちが疾走してる曲と、夕陽を見つめながら失くしてしまったものを少しの後悔とともに思い起こしつつ次の場所へ向かう曲。リンクするようでしないような2曲だなあと。これももしかしたらPの中では核になる曲なのかしら、と映像とか見てると思います。


7.それでいいよ
えまさんの毛布曲(と、勝手に呼んでいる曲がいくつかある、たとえばHorizonとか心々とか)。毛布のようにやわらかく手触りがよく、けれど押し付けがましくない暖かさがある曲、というイメージ。アコギもエレキも子守唄のようでどこまでも暖かく優しい。のに、うっすらと寂寥感も漂うような。
この曲に関してだけではないかもだけど、「励ますよりも、隣に寄り添って背中をさするような曲を歌いたい」「断定しきっちゃわない、光が漏れてる感じのままずっといたい」というようなことを仰っていたのが印象的。歌詞も、いつもの自分からこぼれた言葉で構成したと仰ってた、のに、それをわっちさんに歌わせた、という。それがすごく、どうして?と思ってたのだけど、その理由は、その方が「面白い」と思ったから、そして、自分が歌うと感情が100ないし120%になってしまって、トゥーマッチになってしまう可能性があるから、らしく。わっちさんも、個性を消して丁寧に歌った方が、聴き手の中で(イメージが)膨らむ、とも仰ってましたが、まさに、と思う。
自分で歌う歌は曲と一緒にできることが多いとも仰ってたので、これはそうではなかったということなのでしょうか。「面白い」というのは言わずもがな「笑っちゃう」ではなく「興味深い」の意だと思うけど、こんなに優しく、愛おしい誰かに宛てたような言葉を自分でない人に歌わせることを「面白い」と思えるのはすごい。やっぱり、自分が前に出て自分を通すのではなく、あくまで音楽として良くなる方を選ぶ、アオレンジャー気質なのだなあと。
そのオファーを受けてのわっちさんの歌がまたいい。36歳の自分には書けない歌詞、と仰っていたけど、だからこそ普段は豊かに表現している感情をあえて抑えた歌がすばらしくはまっている。
誰かが愛おしい誰かに宛てて書いた(そしてもしかしたら、そのまま出さなかった)手紙を、何年も経ってから違う人が偶然見つけて心の中で読み上げる…そんな映画みたいなシーンが浮かぶ。こういう歌は感情を込めすぎると、とかくイメージが固定化されやすいから、Pはそうはしたくなかったのかな、とか。
これは本当に余談ですが、曲を聴く前に仮タイトルを知って、その文字列を見た時に頭にパッと浮かんだ単語がありまして。そのイメージで聴いてしまったらめちゃくちゃしんどかった(もちろんいい意味で)んだけどどうしてくれるのか…いやその解釈も外れてそうだけど。風になってもあなたの心には微笑んでくれるようなひとって、そして微笑まれる対象って、あんまりいないと思うんだ。なんて。


8.On My Own
さわやかでフォークみたい?なサウンドのサビから始まるのに、その後すぐのギターはヘビー。それがまたなんだか面白い。そしたらこれもニ極面を一曲で同時に表現したかったのだそうで、サビは60年代のGSやサーフサウンド、そこに80年代の、重心の重いロックのテイストやアイドルとかみたいなリバーブを加えた曲だそうで。そんな、年代の違う音楽をミックスできるのもすごいなあ。やっぱり実験を繰り返しているみたい。一番最初のエレキギターのフレーズは、なんとなくアルバム「4」の「カラス」を思い出します。
「Better Day〜」とは逆に、日本語なのに英語に聞こえるような発音をしているのも面白いなあと。そしてこのアルバムは本当に、どこかに行く、旅に出る、的な歌詞が多いけど、最後(に出来た、という意味なのかな?)の曲だったので書きたいことを書いたとわっちさん。そんなに缶詰だったのか。でもどちゃくそいい曲(©︎ご本人)ばっかしだと思います。甲斐がありまくり。


9.Esper Girl
かわいい!楽しい!めちゃくちゃ好き!!こういうのをポップなロックというのだろうか。さわおさんの曲でもよく思うけど、これ53歳が書いたんだぜ…すごくない…?という謎の感慨が。
サビはメロディもわっちさんテイストが入ってるそうで、一回歌ってみて丸直ししたりもしたそうな。これぞ!っていう早口言葉みたいな譜割りが最高に気持ちいい。Pからそういうのを求められてるんだろうな〜と受け取ったと仰ってましたが、また見事に応えてらっしゃる。Rolling Rolaみたいな、アニソンぽさもありつつ。
アウトロのコーラス?でえすぱーがーる♪って歌ってる声は誰なのかしら。打ち込みなのかしら。ミツバチさん(ユニコーンのヴォイスチェンジャーのアレ)みたいな可愛い声で気になる。Aメロに入ってるキラキラした音も。キーボード入れて演ったら楽しそうだなあ。
インタビューでライターさんに、渋谷のスクランブル交差点を思わせる、と言われていてほほうと思った。hipster(流行りに敏感な人)、フーリガン、ゴス&ロリータ。ああ確かに。個人的には、R&R geeks(オタク)もいるので、「フロアは揺れ揺れ〜」のあたりからはライブハウスのイメージ。「いつもここにいるよ」って言われてたら嬉しいなあ。
しかしよくよく聴かなくても、また鬼のようなフレーズを弾いていらっしゃるのがすごい。わっちさんの言葉の詰め込みっぷりもすごいけど、Pはそれをギターの音でやるんだよなあ。


前評判から、聴くのに覚悟が要りそうだと思っていたけど、とても良い曲で、胸が締め付けられるような切なさを感じながら毎回聴いています。
淡々としたスネアと優しくもどこか遠くにいるようなアルペジオ、そこに乗る静かなPの歌。この感覚どこかで、と考えてみたら、アルバムbrainchild'sとPANGEAに行きついた。あの2枚に入ってる曲の、霧の中にいるような、静かで穏やかなようだけどどこか薄ら寒い、ほんのわずかだけただならない雰囲気を感じるようなテイスト。
それがサビでベースも入って世界がばーっと広がって、曇り空の中の砂漠になる、ような。静かな雰囲気はそのままに「dry dry dry」とは歌われているけれど、完全に乾いてない、やっぱりどこか湿り気を感じる。歌詞も「もっと一緒に〜したかった」と、どきりとするほどストレートな表現だけれど、どこか冷静というか。
けれど最後にわっちさんの歌が入ると、一層グルーヴ感が高まって、また景色が一変する。「それでいいよ」とは違う、100%ではないけれど感情のこもった歌声。控えめながら、または抑えようとしてこぼれてしまったような、でもPのファルセットの前に出るほどには切実な叫びのように聞こえる歌。
インタビューでPは、デュエット形式にすることで二つの並行する世界を表現したいと仰っていた。わっちさんのパートが現実を歌っている、と。
じゃあPのパートは?現実と反対ってことは理想?と考えて、個人的な解釈としては、建前と本音、というか表向きの振る舞いと心の奥底の叫び、かな、と思いました。

ここからはより一層、ものすごく個人的な解釈なのですが。

前にPは、ステージに出る前は「緊張してない、緊張してない」と自分に暗示をかける、と仰っていまして。
それを聞いた時はすごくびっくりしました。あれだけお殿様お殿様言われて、開演10分前まで肉まんって美味しいよね〜なんて言ってるのにステージでは流し目ビームキメつつギターソロで自己陶酔している、そんなひとが、そんな風に自己暗示をかけ(るほど緊張し)ていたとは、と。
オトトキの「ちょっと待っててね、こんなこともあるさ」のシーンでそれが垣間見えた気がしていたのですが(あの時は『冷静に』って自分に言い聞かせていたかもしれない)、そりゃああんな大舞台でたくさんの観客の前で、少しも緊張しない人なんてきっとほとんどいない。けれどそれを出さないようにするのが、まあプロだからというのもそうだけど、仕事や役割を背負った場面だけでなくごくプライベートな状況、つまり親しい人との別れに際してもそう…つまり感情を露わにしすぎないようにしているのであるならば、もしかしたらそれはPの美学みたいなものでもあるのかな、と思いました。
理想、または表向き、には、別れを惜しみつつまたどこかで、なんて薄く微笑んで前を向いている。けれど心の内には砂漠が広がり、瞳の奥も乾ききって涙も出ない。そして前に進むのがつらい、そんな思いも抱えている。ものすごく僭越ながら、そんな状況は自分の身にも覚えがあって、背中がぞくっとしました。
これはまあ、個人的な話なんですが…冷静で居るために、ある意味自然に湧き起こる感情を抑えるというか殺し続けていると、本当に心が乾ききってひび割れた状態になる、つまり感情自体が動きにくくなってしまうことがあるのです。それならば努力して殺さずとも冷静でいられるから楽、そう思われるかもしれないけどそれは大変なことで、ひどくなると、楽しいとか嬉しいとか好きな物事とか、その辺に対しても感情が動かなくなってきてしまうこともあったり…生きること自体が無味乾燥なものになってしまうというか。
Pが同じような状況に陥っていたかはわからないし、そもそもわたしなんぞと一緒にするのもどうかと思うけど、この曲を聴いていると自分のそんな状態を思い出して心がぎゅっとする。「それでいいよ」で、「自分が大好きなものから離れちゃだめさ」と歌っているから余計に。ああ、そう言って隣で毛布を掛けてくれるひとがこの曲の主人公にもいたらいいのに、そんな気持ちになる。
けれど救いがあるというか、それでも「道は続く」ことを知っていて、その道を進む、つまり「生きましょう」と、PANGEAの「心々」のように優しく歌われていることにほっとする(あれもすごく大好きで、どこまでも優しい曲だなあと思うのだけど、どこか他者でなく自分に向いてる曲のようにも感じる)。先に挙げたアルバム、特に1枚目だと、迷いの中に居る状態で止まっていたような気がするので…。
愛するより信じる方が難しい。そんな言葉を綴っていたひとが、自分にはまだ明日があるから、と「あなた」が言ってくれてると信じて、進む。「あなた」がそんなことを言ってくれてるなんて証拠はどこにもない。けれど前述の、自己暗示をかけるようにそう信じ込むことで、前に歩みを進められる。きっとそれは感情を殺すのではなくすくい上げる作業のような気がする。それも、他者とのやりとりではなく、ほとんど自分の中で行っている問答のように聞こえるのだけれど。
オトトキで「その時はもう、ちゃんとした涙っつうのはなかったね」というようなことを(今にも泣き出しそうな弟さんとは対照的に)淡々と語っていらっしゃるのを観て、ああこのひと、どっかで自分で処理したんだ、とぼんやり思ったのですが、それまでには心の中でこんなせめぎ合いがあったのかなあ、とか勝手に思ってしまいました。PILOTの「白と黒」で、東へとハンドルを切った時も、流れる血を「信じて」いたのを思い出すと、またさらにぎゅっとなる。
きっと、毛布を掛けて背中をさすってくれるひとは居ると思うんです。けれどそこに頼らず、また葛藤しない強さを身に付けたい、そう思いながら自分で毛布にくるまる、そんなイメージが浮かびます。や、本当に勝手に曲と重ねてしまっているだけですが。

今はとても弱いかもしれないけどいつかはきっと。そして本音の声が「(だから、)生きていく」とつぶやく。そうして曲は終わる。
主人公のそれは弱さというより優しさに見えるし(オトトキでも弟さんが『俺の弱さ』と口にされてて、このご兄弟はもう…となります)、無理して強くなろうとすると歪みが生じてしまうから頑張らずともいいと思うけど、生きていくうちに少しずつそうなっていければ、と言外に歌っているような気もしてそこはほっとするのでした。
アルバムの曲が出揃ったあたりで曲から生命力を感じてこの「STAY ALIVE」という一言を付け加えた、そしてアルバムタイトルにもした、とPは仰っていますが、例えば新芽が伸びて新しい命が…みたいな力というより、地中に埋まる石にぶつかってもなお深く伸びていく根っこのような、生々しいまでの叫びをこの曲からは感じるのです。

あとまたまた余談。
Pが死とか別れは特別なことじゃなくてずっと寄り添って生きていくもの、みたいなことをインタビューで仰っていたのが、最近自分が抱えていたものとリンクして、とても心に響いてぎゅっとした。
別れは悲しいしつらいし苦しいし、けど生きていく過程には必ずあるもの。だから恐れるなとか気をつけろとかしっかり生きろとか言うのではなく、そういうものなんだよ、と、うずくまっている人の横に温かい飲み物でも置くようなさりげなさで優しく提示してくれたことに、自分もそう思っていたところがあるので(けど、世間的にはあまり一般的でない考えかもしれないので)なんだかすくわれたのでした。真正面からの励ましの方が世間には多いし、そうしてもらった方が嬉しい人もいるだろうけど、わたしはそんな風にひっそりと寄り添ってもらう方が、だんぜん嬉しいです。


11.PANGEA 2018
通常盤のみに収録されてる曲。これが本当にSTAY ALIVEと地続きになっている感がすごい。マスタリングの際にエンジニアさんから、STAY ALIVEとほぼつなげちゃおうかと提案されたようですが、気持ちはわかる。
アルバムPANGEAに入っている原曲も壮大ではあるけれど、バンドサウンドになるとまた違う大きな力が働いて、大陸が別の旅を始めたような印象になったような。わっちさんのファルセットも、動き続ける大陸が新たな命を載せているようなイメージがわいてくるようでかっこいい。
なんだかアルバムを通して一つの流れがある気がしていて。(良き時代から、もっと良い場所へ行きたいと)逃げ出して、色々なところへ旅をして、出会いと別れがあって、そして今、何が待ってるかはわからないけれど、自分の道が足元にあること、それが先へ続いていることを改めて自覚して、それを歩む=生きていく、ことを静かに決意する。そしてそれが、これまでのブレチャの、Pの、10年間の歩みとも重なるようで、かなり新しいファンながら、すごくぐっとくるのでした。


Bn.精神一到何事か成らざらん
初回盤限定の特典として付いているDVDに収録された曲。
というか、このドキュメンタリーがまた、すごい。本当に短くはあるのだけど、要素がまとまっていて…プロジェクトを始めた頃の、「エマ」さんでも「P」でもない雰囲気をした菊地英昭さんの映像とか、リアルタイムで追っていないファンとしてはなんだか驚きだった。これは吉井さんのサポートが一段落した頃だっけ。
これまでの、今集まれるメンバーの皆さんのPそしてブレチャ評も、参加した時代や距離感に裏打ちされていてとても面白い。詳しくは見てもらいたいのですが、6期以前のメンバーは音楽性についてを中心に話してるけど、7期メンバーはとかく人間性について話しているという違いがあったように思います。その辺は付き合いの長さとかやってきたことの違いによるものなのかしら。
ライブやレコーディング、ツアーの合間の映像も「あ、ここいいよね!」ってとこが抜粋されてて、ツボが抑えられてるなあと…見覚えのあるスタッフさんがチラチラ映っているのも、カメラとメンバーの距離感が近いのも、皆で作っているプロジェクト感があって、いいなあ、素敵だなあと思います。
精神一到〜」という言葉(と、歌詞に出てくるもう一つのことわざ?も)は恥ずかしながら初めて知りました。やると決めて精神を集中して行えば、何事も成せないことはない、そういう意味の言葉。タイトルだけ見ると堅苦しいけれど、曲は暖かくてどっか切なさもあるけどハッピーな感じの開けた曲で、ものすごく大好きです。Go  Awayとか君がいて笑って、のような、ほんわりとした明るさというか。
編成についてはPが食べ物に例えていたけれど、本当に豪華で、それぞれが個性的でいい意味で混ざり合ってなくて、けれどバラバラにならずに一つの曲を作り上げている。ギターを手にした頃に憧れた某バンドのようなことがしたかったと語られていたけれど、こんな作り方、まとめ方ができるのはメンバーそれぞれの力量、そしてブレチャの融通無碍の精神と器があってこそかなあ、と。わっちさんがラジオで、僕らは常にPにとって一番面白い最新のオモチャでありたい、Pの存在が遊び場そのものなのかも、ということを仰っていたけれど、まさに、だなあ。個人的には、Pが作る箱庭と、そこで自由に遊ぶ人形たちのようなイメージもあります。
黎明期から参加してるケイタさんと、最新のボーカルであるわっちさん、そしてPの3人が歌っているというのも、誠ちゃんおんたんのツインドラムも、キラキラと上に乗るMALくんのキーボードも、スタジオで向き合って弾く鶴のお2人も(個人的にはNokiaくんの声も大好きなのだけど、あえてここでギタリストとして参加してもらってるところがまた憎い。間奏弾いてるとことかめちゃくちゃ『憧れの方とツインギターですねえよかったですねええ』ってなる。今さらだけど)。できるならばいつか、みわさんゆまくんおーさこくんも一緒に、フルメンバーで観てみたい、なんて、贅沢かなあ。



アルバムのアートワークもめちゃくちゃ好きで、呟きもしたけど、枝のようで根っこのようで、血管のようで稲妻のようで、というイメージはPも持っていたらしい。じゃがいもみたいに養分たっぷりのメンバーから伸びる枝、とも仰っていて、そっちか!と。サツマイモのような塊根じゃなく塊茎なのね。メンバーの養分をもとに芽を出し枝を伸ばしているのね。
でも逆に、そうやって広がった音楽の枝から伸びる葉が光合成をして作った養分を、またさらに根っこにいるメンバーが吸収しているようにも見える。なんだかそれっていい循環だよなあ、と思うのでした。


はてさてずいぶん長くなってしまいましたがスッキリしました。逆にこんだけ吐き出したいことがあったのかと自分で自分に引いています。きもちわるー。
散々御託を並べましたが、こんな小難しいことこねくり回して考えずとも、カッコいいバンドサウンドにガツンとやられまくるアルバムです。ので、ぜひ一聴を(誰に言ってるのか)。
ロックはクラシックになっている(良くも悪くも最先端でない)とPも仰っていましたが、でも普遍的な部分もあるし、パワーを持って発信していくものとの認識もあるそうで。そのパワーに心を動かされるわたしのような人間ももしかしたら減っているのかもしれないけれど、でもこのアルバムでモチーフにしたどの年代にもかっこいいロックサウンドはあったわけで。「今の世の中とうまく融合したい」との言葉通り、時代を先取ってはいなくてもかっこいいと思えるものを作り続けてくれる、そんな存在が居てくれることをとても頼もしく思います。
さて、ライブでもまたガツンとぶん殴られるんだろうなあ。Pはライブへの意気込みを聞かれて、CDと同じことをする、みたいに仰ってましたが、それはある意味では本気なのかなあと。このアルバムはこの4人だけでライブをやるということを前提とした曲作りをした(例えば、音は好きではあるけど鍵盤を入れたりとかはしない、とか)とも何度か仰っていたので、このアルバムにこめられた熱量のまま、またはオーディエンスがいることでさらにパワーを届けてくれるんじゃないかしら。今からものすごく楽しみです。