つれづれのおと

ディアマイロックスター

横浜アリーナにthe pillowsを観に行きました

大事なことなのでもう一度言います。横浜アリーナthe pillowsを観に行きました。
ちなみに冒頭の「大事」は「だいじ」であり「おおごと」とも読みます。

忘れもしない2018年末(発表されたのはライブの最後の方なので正しくは2019年初だったと思うけど)、カウントダウンバンプショウで発表されたライブ。20周年は武道館だったし、それよりも盛大にやるみたいなこと話してたから、もしかして…と思ってはいた。いたけど、さわおさんの口から出た「LOSTMAN GO TO…横浜アリーナ」という言葉と、その時の眩しそうな目(をするよね、こういう時いつも)に、全身に震えが走って泣いてしまった。
横浜アリーナ横浜アリーナって、あの横浜アリーナ?ユニ再始動のツアーで阿部さんが客席の真ん中まで行った?モンキーが聖地のひとつにしている?わたしなんてフェスでしか行ったことのないあそこ?あの大きな大きな会場と、今渋谷のライブハウスで目の前にいる大好きなバンドがどうしても結びつかなくて、けれどとにかく物凄いことが起きているということだけは理解できて、涙が止まらなかった。
本当は916にとりたかったけど、祝日ということもあり貸してもらえなかった。別の会場がとれはしたけど武道館とほぼ同じキャパだった。武道館の時にチケットが取れなくて行けなかった人がいたので、そういう人をなくしたかったから大きい会場でやりたい。だからそこは断った。それで結局、平日、それも一日だけ、横浜アリーナを貸してもらうことになった。それが10月17日。
そんな説明を聞きながら、さわおさんはどこまでもさわおさんだなあ、と、かろうじて冷静さが残っていた頭の片隅で思ったのを覚えている。事実、当日券は出て、当初の目論見通りその日に思い立っても会場に行けば入ることはできた(映画のプロモーションの時にさわおさんが、売り切れそうだからあまり宣伝するなってなってる、売り切れたらスタッフが俺に怒られるから、と笑っていた時は笑ったけど)。けど、スタンディングと指定席は完売。立ち見も一応直前に完売マークがついていて、申し込みを締め切っただけかなと思っていたけど、二階席の最後列の後ろはずらりと人が並んでいた。
春から夏の終わりにかけて、結成年がピロウズと同じバンドのアリーナツアーに参加した。その中にはもちろん横浜アリーナもあって、お客さんがぎゅうぎゅうの2daysに、ここで演るの?あのピロウズが?と途方もない気持ちになったのを覚えている。客席はもちろんだけど、ステージがまた大きい。そしてZeppとかだってそりゃ縦長の会場だけどそれとは訳が違う。たった一日だけ、ワンマンではキャリア史上最大、そして慣れてもいない規模のライブを、結成30周年で行うのがどれだけのことか。何かに圧倒されたまま、遠い未来に感じていた"発表から10ヶ月後"が、とうとう来てしまった。

ピロウズのことについては、覚え書きをつぶやきこそすれ、あまりちゃんと文章にしたことはなかった。なんというか…吐き出さなくてもよくて、自分の心の内にしまっておけばそれでいい、そんな気持ちでいたからだ。
けれど今回のライブが終わって、今までのそれとは違う、なんだか大きい、それでいて混沌とした感情に飲み込まれて抜け出せなくなってしまった。一日ぼんやりぐるぐるし、いろんな方の感想やら何やらを読みあさっているうちに、ああやっぱりちゃんと書いておいた方がいいなあと思った。
ビデオどうしようかなあ、とさわおさんがこぼしていたように、映像化はされるだろう。けれど、あの日あの時自分が体験して感じたこと、それ自体はきっと何度映像を見返したとしても完全にはよみがえらない。ブログはクソデカ感情の吐き出し処、そして老後の楽しみ(そこまで残っているのかはわからんけど)として書いてるようなものなので、そこをちゃんと残しておかないとなあ、と思った。何よりも自分のために。
2回目のロストマンツアーの時、初めて過去のレア曲を演奏するという場に参加できたのが嬉しすぎて、誰に見せるでもないのにライブまでの道のりから一曲一曲の感想に至るまでを事細かにWordに打ち込んだのを思い出す。その時のことを思い出しながら書くので、今回は本当に信じられないくらい長い。作文が冗長だからテーマを絞って書きたいことを中心に書けと小学生の時に注意されたのをいまだに思い出すけど、わたしにとっては全てが大事な瞬間で、書きたいこと、なのだ。


前夜は緊張で眠れなくて、ピロウズをシャッフルで流していたらいつのまにか浅い眠りについていた。けど、やっぱり予定より1時間早く起きてしまう。とりあえず、近年のわたしにしては本当に珍しく前日に用意した持ち物を再確認し、会場へ向かう。電車の中で、すでに物販に数十人は並んでいるとの情報にびびる。嘘だろ…まだ午前中だぜ…?
昼頃にアリーナ裏手の最後尾に到着。曇り空で風が冷たい。人数はさほどでもないかな?とパッと見で思っていたけど、どんどんどんどん列が伸びていって、最後には折り返してきた最後尾すら見えなくなってしまった。
14時から物販スタート。列はかなり順調に進む。階段を昇った入り口で、中でピロウズの曲がシャッフルでかかっているのに気づく。おお、と思ったら列のままぞろぞろロビーを進まされ、その間にも途切れない音楽。見上げたら会場のスピーカーから直接流れていた。持ち込みの小さいスピーカーとかじゃなくて、横浜アリーナの、会場のスピーカーから、直接。涙腺をビシバシ刺激されながらも、いくらなんでも早すぎる、と必死に耐えた。けれど物販会場である小さなホールに入った瞬間、かかっていたFool on the planetとともに膝を折って泣き崩れそうになった。
入って右手、壁の一番上に、タワレコピロウズ展で飾られていたメンバー一人一人の大きな写真の幕が、左からシンちゃん、さわおさん、ぴーちゃんの順に飾られている。入って正面、壁に沿って端から端まで、商品見本のパネルまでがついた並べられた物販ブース。その後ろにはいつもライブでステージのバックにかけられている三本の剣のロゴの幕。ああ、これ、今日は使わないんだ。そう思ったらもうたまらない気持ちになって、心でわんわん泣きながら、予定以上にたくさんグッズを買ってしまった。いいのだ、ご祝儀(?)に素敵なグッズまでついてくるなんてタダみたいなものなのだ。
さらにHappy go ducky!特典のチケットホルダーを引き換えて(机の隅に懐かしのバスターくんフィギュアが居たのが可愛かった)、タワレコブースに並んでハイブリ本2と、このために購入を我慢していた前回のツアーBDを購入。特典の丸いステッカーはGO TO〜のTシャツと同じ柄。かわいい。

名残惜しいながらも物販を後にして、会場の正面に回る。ああ、6月とは違ってロゴの入った看板も何もない。けれどクロークのために入り口が開いていて、中には色々な方からのたくさんのお花のスタンドが置いてあった。ぴーちゃんの中学校の同級生の方々からのに涙(『犯人役』と聞き違いした方々でしたっけw)、ニンゲンドモ宛のわさおさん&ちょめさんからのにも涙。つばきさんの思いものっているかしら。そうそうたる先輩、盟友、後輩ミュージシャンからのお花も並んでいて、ああこういうとこだよなあって思う。音楽と人柄と、過度にひけらかすことは絶対にせず、けれど大事なひと達との縁を大事にしてきたところ。色とりどりに並ぶお花の並べ方を、マネージャーの三浦さんが指示していたのもなんだかぐっときた。

ただただ眺めているのもなんなので(本当はずっとここに居たかったけど邪魔になるし)、移動して買ったばかりのハイブリッドレインボウ2を読む。武道館の時はcastを熟読しながら物販並んだなあ…と軽い気持ちでページをめくり、そして衝撃を受けた。
読み進めるほどに内容がずしりと胸に降り積もる。時間はあったけど、だめだ他の人の言葉は多分入ってこない、と、とりあえずメンバーのインタビューだけ読む。これまで彼らの活動を追う中でほんのりと頭に浮かんでいた本当に微々たる違和感と疑問、そしてインタビューに対する返答への「つまりそれで…?」と重ねて聞きたくなること、それがほぼすべて金光さんによって引き出されていた。さすがだ。何も考えず、ただただいつもピロウズの音楽に助けを請うていた自分を省みて苦しくなった。
けれど同時に、何かがストンと胸の中に落ちて、浮き足立っていた気持ちが凪いだ。開演前に読んで本当によかった(わたしの場合は)。これは、このライブを心して受け止めなければならない。勝手に自分を重ねて泣いてる場合なんかじゃない。このひとたちのここまでの全ての思いと覚悟、それをきちんと目に焼き付けなければならない。そう思った。

日が傾き、雨がぱらつく。さすが雨バンド…と思いつつ、アリーナ(つまり指定席)開場列に並ぶ。18時ぴったりに開場。ピクチャーチケットがもぎられた瞬間、ああ、ついに…となぜか胸が苦しくなる。
広い階段を昇って降りて、たどり着いたのは上手のスタンド。舞台配置は基本パターンでくるだろうなと思ってたから予想はしてたけど、ライブハウスでもいつも上手に陣取るので勝手に嬉しい。ステージには大きなthe pillowsロゴの電飾、両サイドのモニターに「DON'T FORGET TODAY」の文字。静かに流れる客入れはストーンローゼスのアルバムだそうだ。見下ろすスタンディングエリアは順々に埋まっていって、Zeppの2階席ってこんな眺めなのかな、とぼんやり思う。
開演の15分前にもガラガラに見えていたスタンド席も、直前には満員になって、立ち見のお客さんもずらり。もうそれだけで胸がいっぱいになる。こんなにもたくさんの人が、平日にも関わらずピロウズを観に来ている。全国から、いや、おそらく国外からも(アリーナ前で外国の方々のグループを見かけた)。すごい、すごいよ。
予定を5分過ぎて、ままなく開演のアナウンス。わあっと盛り上がり拍手が起きる場内。程なくして客電が落ち、いつものようにケリーズダック…は流れず、モニターに静かに映像が流れ始めた。


映し出されたのはどこかのお家の写真、そしてモノクロの赤ちゃんの写真。え、と思った瞬間、60〜70代と思しき女性の声がかぶさる。2〜3枚目で、カートを押すちびちゃんが誰なのか、女性が話す"絵本を次々に取ってきて読んでとせがむ子"が誰なのかはっきりと理解し、買ったばかりのタオルで口を覆った。シンちゃんだ。
写真の中のシンちゃんはだんだんと成長していって、わたしが知っている昔のシンちゃんになっていく。女性…いや、シンちゃんのお母様は、快活さをにじませた声で、アメリカに出張に行くお父様にシンちゃんがレコードを買ってきてほしいと頼んでいたこと、音楽でやっていくと家を出た息子が心配で頼まれはしないけど何度も東京へ足を運んだことを話す。そして、お父さんも来たかったと思うけど、去年…ということを残念そうに仰るのだ。快活さは失わず、けれど本当に残念そうに。ぐっと胸が詰まって、ハイブリ2の中で"あまり環境を変えたくない、そのままでいいじゃん"みたいなことを言っていたシンちゃんを思い出す。それから今この瞬間、病院で明日の手術を待っているひとと、そのひとになんて声をかけていいかわからない、と音人のインタビューで言っていたシンちゃんを。ああ、いかばかりか…こんなこと断じて詮索されたくはないだろうけど、心中はいかばかりか。
いや、こんなの無理でしょ。知り合いの結婚式なんかのムービーでも1人泣けずに座っていることの多い冷血漢?なわたしなのに、じっとモニターを見上げているだけの目から、後から後から涙が流れ落ちる。わあんと声をあげなくても涙って溢れるものなんだ、そんなこと初めて知った。
ふっと画面が暗くなり、次に映し出されたのはあまりにも見慣れた光景、テレビ塔大通公園。それだけで息ができなくなる。次の写真は、昔懐かしい雰囲気の美容室の入り口。
段ボールいっぱいにバレンタインチョコをもらってきたという話が割と幼めのぴーちゃんの写真にかぶせられていて笑ってしまう。生みの親は私だけど美容室の従業員さんが育ての親みたいなもの、というお話、ツアー先ではお父様に電話を欠かさず、どこへ行った何を食べたと話していたというお話。さっき読んだハイブリ2の中にあった、優しいけれど心の隅にはひそかに孤独を飼っているようなぴーちゃん像とそれが重なって、なおかつ10年近く前、お父様がお店に並ぶピロウズのCDと記念撮影したという話を苦笑しつつも嬉しそうに口にしていたぴーちゃんを思い出してしまう。そして、そのお父様が亡くなられたことでその身に起きたことも。繊細で優しい子なんですよ、でもお金を送ってくれなんてただの一度も言ってきたことなんてない。北海道弁で静かに、淀みなくしっかりとお話されるお母様に、ぴーちゃんの普段の口調も思い出されて、余計にぎゅうぎゅうと胸が締め付けられた。
また一瞬暗くなった画面。映し出されたのは、わたしも一度だけ目にしたことのある、湾曲した海岸。ああ、銭函だ。流れてきたお声は初めて聞くものなのに、わたしはこの方のお名前を知っている。
話している途中でわずかにガサガサと音がして、愛子さんはおもむろに「話すのは得意じゃないから読みますね」とご自身の日記を朗読し始めた。その唐突さと律儀さに誰かを思い出して笑ってしまう、けど次の瞬間その文章力に舌を巻いた。上京する前夜の食卓が親子2人だけとはあまりに寂しすぎる、寝食を忘れるほどロックンロールとは面白いものなのか。冷静な筆致ながらも文章から滲み出る身を切るような寂寥感、その表現力。今度こそ咽び泣いてしまった(タオルを口に当てて声だけは押し込めた)。確かお父様が広大の校歌?の詞を書いていらしたとの話を聞いたことがあったけど、お母様にもその才があったとは。そして息子の好きなものを理解できないままに終わらせず、ピロウズのアルバムを手にとったという愛子さん。「MY FOOTが」「my girlいいですよね」というその口調があまりにも自然な"こっち側の人間"という感じで、思わず笑ってしまった。まずは食わず嫌いせず触れてみる、そんな姿勢がまた、誰かを彷彿とさせる。
お三方とも、最後には異口同音に「今があるのはファンあってのこと」と仰る。きっと聞き手の方が聞いたのだろうけど、お三方ともとてもクレバーできちんとした口調でいらっしゃるから、用意された回答ではないのかも、と感じる。
最後に愛子さんが仰ったこと。そんなに長い時間を共にしているなら、もうメンバーは家族だね、と声をかけた。息子さん…さわおさんは、「『そうだよ』って言ってました」と。
そうして画面は暗くなる。


ロゴの電飾に明かりが灯される。ステージは両開きの赤い幕で半円状に覆われている。
「聞こえてくるのは キミの声 それ以外はいらなくなってた」
いつもより固い声のアカペラが響き渡る。
あ、映画だ、「王様になれ」だ。
そう思った瞬間、聴き慣れたドラムの音が力強く響いた。


1.この世の果てまで
ゆっくりと左右に開いていく赤い幕。ターミナルヘヴンズロックやPIED PIPERのMVみたいだ、けれど今はそれよりも彼らの姿が見たい。さっき見たどの写真にも収められていない、今この瞬間の彼らを。
だから幕が開ききって全力の演奏を叩きつけてくる4人の姿が見えた瞬間、拳をあげて叫んでしまった。
8分の6拍子のダイナミックなリズムで演奏されるこの曲は、力強いのに(だからこそ?)ライブで演奏されると毎回泣いてしまう。開演前はちゃんと受け止めようと思っていたのに、感情が爆発して大泣きしながら、それでも腕はガンガンと突き上げた。スタンディングの人波もそれは同じようで、けれどあまりの人数のそれにまた胸が熱くなってしまう。


2.MY FOOT
いつものさわおさんの掛け声もなく、ほぼ間髪入れずに始まったのがこの曲。早足で歩くようなリズムに、もう限界だった。いつもライブでは口パクで歌ってしまうのだけど、口を開けるたびにひゅうひゅうと泣き声を殺した息が漏れてしまう。
この曲には本当に個人的な思い入れが強い。なんせピロウズで初めて聴いた、なおかつその場ですごく気に入って、アルバムをきちんと聴こうと思わせてくれた曲。そしてその後、歌詞をはっきり聞き取って吐き気を催すほど共鳴し、思わず都会の真ん中で動けなくなった、そんな曲。どちらの風景も、本当に何気ないのに(そして10年以上も前なのに)ありありと思い出せるほど、鮮烈に記憶に残っている。そんな曲を、20周年の時と同じく2曲目に持ってきてくれるとは。
果てもマイフットもどちらも定番ではないけれどライブでちょこちょこ演ってはいる曲で、もしかしたらアイドリングも兼ねてるのだろうかと一瞬思う。けれど演奏はめちゃくちゃに力が入っていて、そんなわけあるかい!と自分を殴りたくなった。いつでも全力で、真正面からぶつかる。そういうバンドだ、このひとたちは。


3.Blues Drive Monster
ブルースドライブモンスター!といつもの巻き舌混じりのタイトルコール。ここで!?殺す気か!?もうガンガンに名曲を撃ってくる、飛ばし過ぎじゃないか50代。
しかしこれもやはり思い入れが強い曲なのでもう泣きながら拳をあげるしかなかった。「みんな一体どんなシステムで感情コントロールしてんだ」「満員電車に乗れなくて」そんな歌詞に、自分だけじゃなかった、ここにもそんなひとがいた、と涙を流したあの頃。どこまでもカッコいいサウンドに身を委ねている時だけはその憂鬱を薄らげることができた。それは今も一緒で、だからこそ怪獣の咆哮のようなアウトロのギターが胸に頭に身体全体に響いてくる。やばい。息もつけない。
バックに現れるエフェクトもとても綺麗な青だ。あの頃のぴーちゃんのギターのようなパキッとしたメタリックな青。


確かここでさわおさんが最初のMCをした。飲み下した水のペットボトルを見て「アクエリアスじゃないじゃないか」。さざめきのような笑いが場内に広がる。ああ、わたしたち、みんな緊張している。
「久しぶりじゃないか!みんな元気かい?」も、「いい夜にしたい」も、「目は覚めたけどまだ夢の中だ」もなく、言葉少なに話すさわおさん。ああ、もう、本当にこれは普段と違うライブにするつもりだ。だから916の舞台挨拶ではあの台詞を言ってくれたのか。そう思うと、忘れかけていた開演前の決意が脳裏によみがえった。きちんと受け止める、そうしなくては。


4.アナザーモーニング
ダイナミックなシャッフルのビート、アラバキでも聴いたけれどやっぱりカッコいい。これも何度となく背中を押された曲だ。ハッピーリバースデー、それをこんな大きな会場で歌っているなんて。1番の歌詞にさっきの映像を思い出してしまってまた泣きそうになってしまう、けれどこらえた。


ああ、ここで…感情のジェットコースターは忙しい。これも本当に、ファンになった時から大好きなロックバラードだ。ハイブリ2を読んだ今は、重みが違って聴こえてくる。けれどメロディはどこまでも美しく格好いい、ぴーちゃんのコーラスも素敵。
映画でTERUさんとJIROさんがカバーしていたのも素敵だったけど、久々に聴いた本家本元のバージョンはひたすら胸にきた。あのギターソロのフレーズ、確か音源はそこだけムスタングで弾いたと仰ってたっけ、あれほど太いのにしなやかで力強い美しさを持ったフレーズは他に知らない。


6.バビロン 天使の詩
いやだからジェットコースター忙しいって!!とは言ってもタイトルコールに勝手に体が反応して両手をあげてしまう。
いつもサビでは小さくジャンプしてしまうのだけど、流石にスタンド席でははばかられた。けれどやっぱりひたすらカッコいい。
もはや涙もすっかり乾いていて、いつもより全然遠くにいるのに普段のライブみたいにワクワクしている。ステージや客席からも伝わる緊張感は、それでもわたしも持っていたけれど。


7.I know you
これまた聴き慣れたギターがかき鳴らされて、わー!となる。「I know you」のリフレインで、会場中がステージを指しているようでグッとくる。ここにいる人たちみんなが、あなたを知っている。「ぎゅっとつかんで騒いでる」のところで握られた拳も、数え切れないほど見えた。
このギターソロもそれはそれはオシャレでポップで大好きで、とにかく体がリズムをとりまくってしまう。


ここでまた小休止、と言っても普段のワンマンと比べたら全然短いし言葉も少ない。
「君たち……無職?」はここだったか。「平日にこんなに人がいるなんて」「言いつけ通り仕事辞めて来たんだろw」若干ざわつきつつ、い、いえー…と返す会場w いやあ、なんとかたどり着きましたよ、ええ…w
「ハタチからバンドを始めて、30年経って50歳になってしまった。けど…俺は今でも、サリバンになりたい!」


8.サリバンになりたい
もう、ぎゃー!!である。ここで騒がずしてなにを騒ぐのか。マジでスタンディングエリアに降りたかった…!!
攻撃的な最初のフレーズもフーッフー!のコーラスも良いけど、間奏のギターとベースとドラムがじりじりとせめぎ合う緊張感がとっても好きです。ネックにかじりつくように細かくピッキングするぴーちゃんがめちゃくちゃカッコいい。そこからの「ロッキーサリバンは〜」の不穏なボーカルも好き。最後のシャウトもカッコ良かった。ああ、確実に10年前より声が出ている。それってものすごいことだ。
そしてその時は来た。
「He's gone」からのアウトロ、ぴーちゃんがおもむろに歩き出す。…歩き出す?いや弾きながらこっちに来たーーーー!!!!
つまりは左右両側に舞台が長めにとられていたのだ。特効の発射台があったからそれを置くためかと思っていた、けど明らかにスペースが大きい。そこに、つまり上手の花道(花道!!)に、ギターを弾きながらのしのしと歩いてくるぴーちゃん。上手の端まで来てくれて、普段のように表情も見える。いやいやいや!!!!こんなことある!?!?!?花道でファンサ(?)する真鍋様だよ!?!?!?上手スタンドを配分してくれた神とFCに感謝したマジで。モンキーでエマさんが近くに来た時ばりに声出してしまった。
もちろんそんなステージアクション慣れてるはずもないのだけれど、そして緊張もしているだろうけれど、ぴーちゃんの歩き方は実に堂々としていてめちゃくちゃカッコよかった。持ち場に戻るときの背中が武士のようだった。弾いているフレーズも、ステージから援護するバンドももちろんカッコよくて、すげー!すげー!!と心の中で繰り返し叫んでしまった。いいもの観せてもらっただあ…


9.LAST DINOSAUR
いやいやいやここでぶっこむんかい!!興奮収まりきらないのに息つく暇もないセトリがすぎる、どうしてくれようか!!
「悲しみを全部引き受けたって大丈夫」「どこでだって誰の前でだってただ自分でいたい」。あのリフとともにそんな歌が鳴らされる、このどでかいアリーナで。ダイナソーが咆哮をあげている、そのシーンにふさわしい舞台であるような気がして全力で拳をあげた。ソロのチョーキングな………(言葉にならない)。


10.Please Mr.Lostman
あのイントロだ。曇り空を飛行機が旋回しながら飛んでいくような、どこか不穏さの流れるイントロ。わたしたちはこの先に何の曲があるのか知っている。それでも、チャイムのようなあの一音がギターで奏でられた瞬間、フロアに静かな歓喜が満ちたように見えた。
バックの映像はアルバムのジャケットのよう、薄明かりの中で枯れ木が左端に小さく立っている。空の色は明けもしなければ暮れもしない、けれど曲が進むにつれ枝の後ろ側にキラキラと星が輝く。
さわおさんの声の伸びが素晴らしい、緊張はしていてもやっぱり10年前よりも声が出ている。


11.No surrender
じんわりしんみりしていたところで響く「ワンツースリーフォー!」のシャウト。反射的に「ファイブシックスセブンエイト!!」と答えていた。いやだからテンションの落差!!w
この曲も本当に…最初はただのアルバムの一曲なイメージだったけれど、2011年からたくさんの意味を背負うようになったなあ、と思う。けれど大変なことがある前から、「どんなに悲しくても生き延びてまた会おう」と歌っていてくれたのだ、さわおさんは。ライブ特有の「また会おう!!」に、全力でイェー!!と答える。それがいつになるのかわからないけど、あのひとはきっとそういう約束は破ったりしない。単なる歌詞だから、とかじゃない。約束できないなら歌ったりしない。よくわからないけど祈るようにそんなことを思いながら観ていた。ギターソロの、真夏のどこまでも晴れ渡る空のような爽快感。それがアリーナに響いたのが嬉しかった。


12.Kim deal
「永遠のオルタナクイーンに」とさわおさんが言ったのでおおおお!となった。アリーナで!やるか!これを!
可愛らしいサウンドは健在。ボーカリスト以外がするコーラス愛好家(?)のわたしとしては「あ〜Please sing for me〜♪」がアリーナで聴けたのめちゃくちゃ嬉しかった。ああ緊張してらっしゃる…と思っていたけど、お二人とも頑張って歌ってらした。
オルタナ=亜流、の(さわおさんの中での)象徴である彼女に捧げた曲を、主にポピュラーなアーティストが演るこの会場で演奏できたのはなんか素敵だなあと思った。そこまで考えてないかもだけど。
そして勝手にだけど、「年をとって変わってもかまわない」「歌ってよダーリン」の部分はもう、そっくりそのままわたしがピロウズ に、敬愛するミュージシャンに言いたいことなので、いつもステージを指差しながら聴いてしまうのだ。


13.ぼくは かけら
イントロで、ああああああかけら!!!とテンションぶち上がり。いや大好きなんだよこれもおおお!なかなか聴く機会ないけどなぜかアニバーサリーでやりがち!!
寂しいことを歌っているのにやけくそに?明るい曲調なのがまた良いのです。ライブの後に読んだ、ハイブリ2の友康さんのインタビューを思い出す。ブリティッシュぽい、というのかな、ぴーちゃんのこういうギターがとっても好きです。


14.1989
ぼそりとタイトルコール、やるとは思ってたけどやっぱりぎゅっとした。いらしてるはずだけどオクイさん聴いてらっしゃるかなあ、などと思う。
やっぱり声の伸びがすごい。緊張はあると思うけど、演奏も含めて正直10年前の武道館のそれよりも良かった。この曲はすごくリピートするということはないのだけど(なんか20周年の思い出が強すぎて)、ギターソロのフレーズがなんだか好きで、なぜかそこだけ事あるごとに思い出したりする。
「ひとりぼっち〜」のあたりのキーボードの音、なんとぴーちゃんがギターで弾いていたのでわあああとなった。しかも本当にキーボードみたいな不思議な音。あんなの出せるんだ、凄い…。「嘘だよ」って一緒に歌ってるようなフレーズが、ひっそりと寄り添っているようでとても良い。


15.ニンゲンドモ
最新アルバム枠(そんなんあるのか?)、これかあ!!わさおさんたちのお花を思い出してニヤリ。今歌いたいことが一番入ってる、のか、なあ。帰って来てから、「加害者と被害者の〜」のフレーズとハイブリ2の内容がなんかリンクして、あああ〜…と思うなどする。でもそこで、まあ怒ってはいるけど、それよりも誰かを「傷つけてる」って歌うのがさわおさんだなあ、なんて。怒りや悲しみも含めてなんだろうけど、"傷つく"んだなあ、なんて。
コーラス愛好家()としてはやっぱり、ぴーちゃんの「白状すべきだろう」がアリーナで聴けたのが嬉しかったですとっても。ツアーでもすごく楽しみにしてたので…(そんなにか)。アウトロの魂のソロも相変わらずカッコよかった。


16.雨上がりに見た幻
「10年ぶりに歌うよ」、その言葉に過ぎた年月を思う。ああ、本当に武道館から10年たったんだなあ…
この曲もやっぱり10年前より歌えてる、と思う。有江さんの優しさも加わったロマンチックなベースラインが良い。


17.サード アイ
聴き慣れたイントロ、あーやっぱきたか!と思ったとこで、ステージのバックにメンバーの映像が初めて映し出される。うわあああ!!!カッケー!!!
バックのスクリーン?は、細長いのが5本垂れ下ってるような感じ。そこに物販会場と同じ並び、下手からシンちゃん、さわおさん、ぴーちゃんの順にリアルタイムの映像が。MVみたいだ!!とテンションぶち上がると同時に泣いてしまった。無くてもそりゃあ良いけれど、こんな演出で観るピロウズも、めちゃくちゃカッコいいんだなあ。
合間に有江さんも映し出されて、それからホルスの目というらしい、エジプトの壁画とかにありそうな目の紋章?が。スクリーンにはそれまでもほぼずっとエフェクトが出ていたし、両サイドのスクリーンもずっとリアルタイムの映像が流れてきたけど、この演出はすごくぐっときた。
他の好きなバンド、たとえばユニコーンやイエローモンキーではよくある(とはいえ毎回グッときてしまう)演出。それがピロウズで観られるなんて。一枚の画面が3分割されるんじゃなく、3つの等間隔になったスクリーンにそれぞれが映し出される、というのがまた、彼ららしくて良い。ピロウズの3人は勝手にだけど、あの三銃士の紋章のごとく、それぞれが持っているものをそれぞれの方向から合わせている、そんなイメージなもので、ぴったりだと思った。


18.Advice
さわおさんのギターに、え!?となる。ドタタッ、ドタタッ、というシンちゃんのリズムが少しずつ速くなって、いよいよイントロ。アドバイスだーーー久々聴いたーーー!!!フロア降りたすぎ問題再び勃発。
この広い会場にこれが響くのが最高に気持ちいいしカッコいい。人が集まって来たらそりゃあいろんな人が来ちゃうけど、もう本当そんなアドバイスしてくるやつaway with youだよおおお!!!と謎の全能感?が。2番の歌詞はさわおさんが全部歌ってた。


ここでメンバー紹介。
ベース有江嘉典、と紹介されたトップバッター有江さん。
僕がピロウズに関わったのは30年のうちのちょっとの期間だから、今日は皆さん(お客さん)と同じくお祝いする気持ちで演ります、よろしくお願いします。みたいなご挨拶。いつものニコニコな感じと違ってすごく緊張なさってるお声だけど、一生懸命話してくださってるのが伝わってきてぐっとくる。ああ、本当に有江さんにサポートしていただいてよかったなあ…宮っteaさんもありがとう…

ドラムス佐藤シンイチロウ、と紹介されたシンちゃん。
先程出てきたうちの母親なんですけど、ちょっと前に電話が来まして。「横浜アリーナがわかった。横浜スタジアムでしょ?」ってw 「横浜アリーナ横浜スタジアムは違うよ」って教えてあげたんですけど、「横浜アリーナって横浜スタジアムでしょ?」って。二回同じこと言ったよ…面倒くせえなと思って黙ってたんですけど「最寄りは関内でしょ?」って言うから、惜しい!ハマスタ(ってサラッと言うのがシンちゃんだなあと妙に嬉しかったw)は桜木町!と。「新横浜だよ」って教えてあげたら、「新しくできたところなのね!」って…"新"に引っ張られたんだと思うんですけどw横浜アリーナも30周年おめでとうございます!(場内拍手) バラしてしまってお母さんごめんなさい!!
みたいな感じで、結局無事いらっしゃれたのか?というお母様ネタをw しかしなんかいつものシンちゃん節という感じでとてもホッとしたのでした。正直、盛り上がってはいたけどあまりにシリアスなので、期待というか、頼む…ちょっとだけでいいから空気をゆるめて…と思ってたところはあったので(わたしだけかもだけど)…。武道館の時も、あのめちゃくちゃ緊張感ある空間の中で、シンちゃんのダジャレでふっとゆるんだのを思い出した。ただ、ご本人は御多分に漏れず緊張してたようだったのがあとの演奏で発覚するのだけど…w

ギター真鍋吉明です、と紹介されたぴーちゃん。
今日は集まってくれてどうもありがとう。これから先何かあっても今日のこと思い出したらちょっといい気分になれる、そんなライブにしたいと思います。
そんなことを仰って、会場がわーっと沸いて、おしまいかな、と思ったところで「この場を借りて…」と。
メンバー、スタッフ、関係者の皆さん、そして時期は色々だろうけどバスターズの皆さん。30年付き合ってくれてありがとう!
いつもの優しくもしっかりした口調で、珍しく?ストレートに、感謝を伝えるぴーちゃん。わあ、と思った。ああ、やっぱり集大成なんだな…と、ちょっとだけぎゅっとする。


19.Swanky Street
言葉少なに(喋らなかったかもしれない)曲に入るさわおさん。じゃんじゃじゃーーーん…スワンキーだ、とわかったところで、なんと、リズムが!合ってない!!
それぞれの音はめちゃんこかっこいいのに進行度合いだけバラッバラで、でも照明は曲に合わせて進んじゃってて、あらららどうするん…と思ったところでやっぱり演奏が止まったw 遠目からでもさわおさんがどんな顔して笑ってるかがわかる。「え!?俺!?w」と真っ先に自分のせいかと思っちゃうところがまた、らしいw振り返った先のシンちゃん、グラサン越しにもわかる苦笑いで自分だと申告wこんな間違え方するの珍しいなあ、特にまさかのシンちゃんが。そういや前回のツアーの旭川公演でもMarch of the godがグダグダになってやり直したなあ…と思い出したw
えええ…とわちゃわちゃしかけた雰囲気の中、シンちゃんが無言でシャン、シャン、とシンバルを2発。そこでバッと、ジャンジャジャーーーン!と息のあった演奏を観せる4人。正直、ここに一番しびれたのでぜひDVDにはノーカットで収録してほしい。ミスがあったとしてもカウント一発で立て直せる、それが30年の強みと重みなのだなあと強く思った。この前のモンキーの武道館でも思ったけど、過度に憔悴したり不機嫌になったりせず(というか、そうなったとしても表に出さず)合図だけですぐさまガッチリ合わせられる、それはやはりこのメンバーで、積み重ねたものがあるからこそだ、きっと。
よりによって「僕らは間違いながら」という歌詞が皮肉なようでいてw、けれど「何度も傷ついたけど」進んできた、それがこの一瞬に結集していた気がして、胸が熱くなった。そしてさっきのMC以上に空気がいい意味でゆるんだというか、ここで一旦空気が止まったことで、遅まきながらいつものライブのテンションを取り戻した気がする。少なくともオーディエンス的にはそうだった。
仕切り直した演奏はめちゃくちゃにカッコよかった。やっぱり、スワンキー、好きだ。

演奏終わりでさわおさん、「あんなに練習したのになぁ〜…」としおしおと膝に手をついてがっくりポーズ。苦笑するぴーちゃんに「お前が柄にもなく良いこというからこっちはやられてんだよォ!!w」と甘噛みw 「俺らこんなとこでやるバンドじゃねえんだよ!!w」とキレッキレなのでしたw
ここではなかった気がするけど、後からスワンキーのことについて再度「俺たちポンコツだなあ…」「大学生バンドかよぉ…」としおしおするさわおさん。すかさず「55歳で大学生になりました!!」とシンちゃん。再入学したのかw
ああ、でも、よかった、と、ついちょっとホッとしてしまった。空気がゆるんだだけではなく、何もなく全てをやり通してしまったら(そりゃ小さいミスはちょこちょこあったけど)、集大成を極めてしまったら、そこがゴールになってしまう気がしていたのだ。解散はしないと明言してくれてはいたけれど、何かが燃え尽きてしまいそうな…宗教的な儀式?とかでも、あまり完璧にやり過ぎると恐ろしいことになるから敢えて外しの部分を作る、みたいなの、あるじゃないですか(あやふや)。だから、よかった。また横アリリベンジしてほしい!とかそういうんじゃなくて、全力でやって、でも不完全だからこそ、まだ続ける意味があるというか。ガッチリできたとしても、そう思っていたかもしれないけど。


20.About A Rock'n'Roll Band
ここで来るかー!!イントロのハイハット、最初から入れちゃうシンちゃん。この会場の広さじゃ手拍子合わないもなあ、でもあれだけの人数がやっていたのは何度見てもグッとくる光景だった。
ここ最近のライブの定番が来たこともあって、本編最後だったけれどすごく盛り上がった、少なくともわたしは。「終わらない日々を過ごした それが全て」、ここのメロディと歌詞は何度聴いても泣きそうになる。


21.LITTLE BUSTERS
きたあああ!!両手をあげて盛り上がる。演奏はもちろんカッコ良くて、今回はどでかいバスターくんはいなかったけど、それでも演奏だけでめちゃくちゃカッコよかった。横アリを埋め尽くす人波がみんな腕をあげている、その光景も目に焼き付けたくて、チラチラと後ろを向いてしまった。遠くから見るピロウズは、間奏でさわおさんと有江さんが向き合って弾いてたり、ぴーちゃんが片手をあげてたり、シンちゃんが叩いてる様がカッコよかったり、いつもと同じなのに俯瞰していて、でも距離は全然感じなかった。サイクロンを銃に見立てて撃つやつも、こっちに飛んできたような気がした。
アウトロでおもむろに歩き出すぴーちゃん、またもや花道をこちらに来てくださる。さわおさんまでギター弾きながら小走りで下手花道の端へ。ああ、なんて光景だ。すっかり乾かしてもらった目がまた潤んできて、夢中でぴーちゃんにエールを送った(腕をあげただけだけど)。
2人がステージに戻って、さわおさんがいつものように自分の立ち位置あたりをぐるっと一周歩く。曲のシメ、サンキューバスターズ!とかは仰ったのかはわからなかった。


半分語りのようなブルースのような、そんな歌から始まる。うわーこれが最後なのか、なんとなくそう思ってイントロのコーラスに全力で手をあげていたら、バンドの演奏が入った瞬間、パーン!とフロアに放たれる銀テープ。わあ!!ここでかあ!!キラキラした銀色が大きなアリーナに舞って、その向こうでピロウズが歌っていて、ああなんかもう、めちゃくちゃに美しい光景だった。
So I'll live!Only this fact is wonderful」、ああ、この歌詞が似合う光景が他にあろうか。力強いシンバルとバスドラが響いて、曲が終わる。ギターから手を離す2人、ああ、本編のおしまいだ。


めいめい楽器を置いて(ぴーちゃんがギターを渡したのがクマさんではなくてちょっとびっくり、ピックは流石に投げてなかった)、ちょっと会釈したりしながらも、いつも通りさらりとはけていくメンバーたち。

程なくしてアンコール。手拍子がいつまで経っても揃わないのが新鮮だった。


en1.ストレンジ カメレオン
ここで!来るのか!!いややらないわけないとは思っていたけど。なんかすごく、ちゃんと聴いていたのに、いやだからこそなのか、浸りすぎてしまって記憶が抜け落ちている。この曲のドラムがとても好き。静かなエモーショナルを感じる。


en2.ハイブリッド レインボウ
カメレオンがきたらこっちもくるよねー!!
「Can you feel?」のC&Rがあってちょっとホッ。いやないわけないだろうけど。
とにかく力が入っていた。「こんなんじゃない」はもちろんシャウトする方。間奏中のあのストロボを連続でたいたような照明を、引きの目線で観たのがすごく新鮮で、それでもかっこよかった(近いと逆にメンバーの姿が見えづらい時もあるので…)。ぴーちゃん、腰を落とし床に膝をついてギターを抱え込むように上半身を折り曲げ、弾く、弾く、弾きまくる。入り込み方が遠目から見ても半端じゃなくて泣きそうになった。やばい。ギタリスト魂、とたまに仰るそれが炸裂しているように見えたのだった。凄かった。

演奏が終わり、3人がはけて、1人ステージに残るさわおさん。ぴーちゃんのボードのスイッチをひとつ切って、センターマイクに向かう。

「俺は」いつもみたいに、少しずつ息をつぎながら話す。
「音楽業界のことは信じてない」
「でも、キミたちのことは信じたいよ」
言うが早いが踵を返して足早に去っていくさわおさん。ああ、なんて、らしいのか。20周年の時とかはもっと感謝の言葉に近いものを口にしていたと思うけど、今回はこうだった。信じるんじゃなくて信じたい。先のことなんてわからない、昨日の友が今日はなんてこともきっとたくさんある。ああ、でも、ものすごく勝手だけど、できたらこれからもずっとその背中についていかせてほしい。そう強く思った。

場内には聴き慣れたシンセのイントロ、ああここで流すのか。「Thank you,my twilight」を口々に歌うわたしたち。「キミを待ってたんだ」の部分で一層声が大きくなって、ああそうだよなあ、ここだよなあ、なんて思う。別にどっちがいいとかはないんだけど、ここ最近はアンコール後に曲が流れても合唱まではいかない方が多かった気がするから、なんだか懐かしかった。

そんなに間を開けずに出てきたメンバーは、いつも通り★を手にしていた。一列になってぞろぞろと、全員で下手の花道へ。わあ!すごい!ご挨拶するんだ!下手側のお客さんにわーっと手をあげるなどして、こっちへ向かってくる。さわおさんはわざとらしく腰をトントンしてたw
上手花道の端まで来た4人、いつものように円になって缶を開ける。軽く乾杯して一口。なんだか嬉しかった、いつも通りなのが。またぞろぞろとステージに戻り、手にしていた缶を見て「中身はアクエリアスです」とさわおさんw「あんまり酔っ払わないうちにやるぞ」と演奏へ。

en3.Ride on shooting star
わーここで!前傾したり横に捻ったりのアクションが引きで見るとまた楽しい。ちょっと武道館の時のCalveroを思い出した。

en4.Funny Bunny
これもここで!最近何かと話題になってるけど、ああやっぱりわたしにとってはピロウズの曲だなあと思った。どんなアレンジをされたって素敵なのは、元の曲が素敵だからなのだ。
「君の夢が叶うのは」の大合唱のあと、いつものようにオフマイクでシャウトするさわおさん。「ありがとう!」の「と」の子音くらい、だけだけどちゃんと聞こえたよ。


1回目のアンコールと同じく、いつものようにはけていく4人。
ああ、終わってしまう。お客さんはほとんど残っていて、多分もう一回は出てきてくれるんじゃないかとは思うけど、そうしたら終わってしまう。何かを祈るような気持ちで手拍子をしていると、4人は出てきてくれた。

俺は今50歳になったけど、いまだに救われている。新しいも古いもない世界、それがロックンロールだ!!

そんなさわおさんのシャウトを合図に、最後の曲が始まる。

en5.Locomotion more!more!
うわーーー最後にこれ持ってきた!!武道館の時も、比較的新しいながらライブのシメの定番になりつつあったポイズンだったよなあ、と思い出す。冷静に書いてるけどもうだいぶ興奮していて夢中で手をあげた。5、4、3、2、1!のシャウトも曲げる指を間違えながら歌った。
「ヨコハマシティも揺らした」と替え歌するさわおさんに沸く場内。終わってしまう…なんて感傷に浸らせない、ぶっちぎりでかっこいいロックンロール。じゃかじゃかじゃかーーーーっと弾いて、ガーンとおしまい。ああ、いつもと同じで、いつも通りカッコいい。カッコよかった。

最後にぴーちゃんがピックをフロアに投げてみるチャレンジ(届いてたかは見えなかった)したくらいで、普段通り、本当に普段通りはけていくメンバー。写真撮るとか手をつないでとか肩を組んでとか最後に一言とか、そういうのも何もない。
ああ、ただただ全力でやりきってくれたのだな。息を切らしながら、全力で拍手をした。


会場の外に出たら結構な雨降りで、ああ、らしいなあとまた思った。
たとえばいつものツアーみたいに、また新しい曲作って届けにくるよ、みたいなことは何も言わなかった。集大成を見せる、先のことはまだ何も考えてない。その言葉の意味がなんとなく理解できたのはライブが全て終わってからだった。
本も読んで、予定のない"この先"に少しだけ不安になったのは事実。けれどそれはわたしの個人的な話だ。ライブをマイルストーンみたいにして、そこまではなんとか生き延びようと、ぎゅうっと目をつぶってイヤホンを耳に押し付けるように彼らの音楽を聴いていた毎日。ピロウズの音楽に出会った十数年前から、本当に今の今まで、わたしはそうして彼らに助けられてきた。体調を崩して娯楽を受け入れる体力がごっそりと削られて、回復段階にあっても意欲がわかなかった時も、ふと思い立って再生して、あ、これが見たい、と思えたのはピロウズのライブBDだった。音楽は娯楽である、ではあるけれど、どんなそれより自分の血肉に近いもの、価値観の形成に関わったもの、「楽しむ」「好き」という言葉だけでは表しきれないもの。それを彼らの音楽や生き様から受け取って生きてきたのだ。
だから、わたしは彼らに心の底から感謝している。そして、だからこそ、この先どうしてほしい(活動してほしい、ということさえ)とは、言いたくない。
ここは途中、まだ人生の途中だ。たとえば本当に彼らの考える"ピーク"があの日のステージであったとしても、何もない限りその先も人生は続いていく。だから、勝手な話だけど、なるべくしあわせでいてほしい。わたしたちのことを信じたいなど、身に余るにも程があることを言ってくれたあのひとたちが、健やかで楽しく人生を送ってくれればそれでいい。そうして、できるなら、気が向いて音楽を演ろうと思ってくれたならば、可能な限りそれを受け止めたい。普段からそう思ってはいるけれど、今回は特に、そう思ったのでした。
まあ、1〜2年に1枚アルバムを出してツアーを回ってさらにアルバム再現ツアーをやったりとか、これまでの活動ペース自体がかなり早いサイクルだったと思うのでw、そりゃあペース落としたっていいよ、とは思うのですが。


なんだか話が大仰になってしまった。というか正直まだ消化しきれてなくて、ふとした時にどこかの場面を思い出しては泣きそうになったりする。
けど、たとえば一生のうち、そんな思いをできることって何回あるだろうか。たとえば近くにいないひとであっても、崖っぷちで手を掴んでもらえることが何回あるだろうか。
そんな貴重な体験を、全身全霊をかけてさせてくれた彼らには、本当に感謝しかないのです。
the pillows結成30周年、本当におめでとうございます。これからの未来もどうか、たとえ全てがそうではなくとも、皆さんにとってすばらしいものでありますように。