「UC100V」を聴きました
聴きました。聴きましたとも!!
クリスマスの朝、枕元に見つけたプレゼントの箱を開ける時のような、胸が期待に膨らむ高揚感と、おそらく自分の好きなものではあるけどいったい何が出てくるんだろうというドキドキ感。
ユニコーンのニューアルバムを再生する瞬間は、いつもそんな気持ちに包まれます。
それを味わいたくて、ZERO以外は聴かないようにラジオで曲が流されてる部分を避けてました。頑張った。
そして、蓋を開けてみたら、今回もすばらしい!!
すばらしく予想外で、突飛で、けれどどこか懐かしくあたたかい、めちゃくちゃにカッコいいアルバムでした。
ただ、今回「も」という言い方はあんまりしたくないのです。言うまでもなく、彼らのアルバムは一枚一枚すごく個性的で、同じ言葉や感情が当てはまることはない、と思うから。
だけど、ひとつだけ、ことに再始動後においては、共通するテーマはある(と、勝手に思っている)。新たな一枚ではあるけれど、それを今回も踏襲というか内包している、そんなアルバムでした。
かっこいい。文句なくすてき。本来はその言葉でもう十分なのだろう、けど、とにかく一曲一曲がまたすてきで、感想を言いたい。けど、そっくりそのまま垂れ流したら大変なことになる、ので、こちらに書きました。
今回は特に、公式インタビューもあるから、どういういきさつで出来て…みたいなお話はあんまり拾わず、感想ばっかりです。
・パッケージ
曲じゃなくてそこからかよ!!とつっこまれそうですが。
や、ジャケットとか中身のデザインがまた、素敵なのですよ…。
わたしが買ったのは紙ジャケにスリーブケースがついている初回盤。ペラペラのじゃなくちゃんとハードカバーの本みたいに閉じられる紙ジャケ。
ディスクが入るポケットはぴったりした薄さなので、すとーんと落ちにくい仕様。不器用と不注意の権化のような人間にはありがたい。
ジャケットの表には「UC100V」のネオンサインと、形の異なる五つの電球。レトロかわゆい。
で、スリーブケースなのだけど、無地で黄色一色、かと思いきやうっすらとでこぼこしている。よく見ると表に、電球に「UC100V」と書いてあるロゴ、裏は曲のタイトルが大小さまざまかわいいフォントでコラージュのように並べられている。
で、それが、暗闇で光るのです!これがまた、すてきなのです…
発売前の発表では、光るスリーブケース!と言われても、あまりピンとこなかったんですが、暗いところで見ると、シンプルな線で象られた文字やロゴが際立って良いなあと。
で、あと、アルバム本体のジャケットと連動してるといいますか。本体ジャケは裏側が、メンバー5人?をモチーフにした電球(電気が消えてる)の上に、スリーブケースと同じように曲タイトルのロゴが描かれているのです。
つまり、ユニコーン5人が放つ光を吸い込んで、暗闇であってもこの曲達は光るんだよ…!!
なんだか胸熱なモチーフです。
あと、歌詞カードは歌詞カードで、それぞれの曲のページに、それぞれの曲に入っている数字が黄色で描かれてるのも良い。ツアーグッズのフラッグの柄みたい。文字を隠して意味を持たせたようなデザイン、謎解きみたいで好き。
あとパッケージとは違うけど、アルバムにダウンロードカードがついてるのもありがたかった。パソコン起動してCDをインポートする手間も惜しむのかよ…と言われそうですが、そういう気力すらない時だってあるんだよ…。アナログ盤に合わせた収録時間だったりするのに、現物と一緒にデータも手に入る、という、新しいと昔ながらの共存が、なんだか彼らっぽい。
さて、これより一曲一曲について。
・10nuts
再生ボタンを押すと、次第に大きく迫ってくるブワ~~~っとした音。飛行機が頭のすぐ上を通っていくような、重厚で機械的なそれの上にのる、ジャングルの奥地で奏でられているようなパーカッション。そこに低くも高らかに名乗りをあげるように加わるギター、ベース、ドラム!
何これ!いきなりカオス!そしてめちゃくちゃにかっこいい!!
氣志團万博の山下達郎さんのステージで号泣するほど(by お弟子さん)感動し、そこで御大自らが作った曲で登場しているのにヒントを得たというあべどんさん。一人一人がリングに上がるように登場してグルーヴを作り上げたところで全員のボーカルが入るところが、まさに!という感じ。へーーーいなーーーっつ!すたーーーんだーーーっぷ!ぱんちぱーんち!どらんかー!と歌いたくなっ…ごめんなさい。
そう、このギターリフとツインギターになるとこでもう、モンキーのあの曲ぽい…と思ってしまいまして。もしやと思ってちょこっと調べたら、モンキーの方がおそらくオマージュしてるであろうDeep Purpleの曲に行きついた。これも意識してるのかなあ…リフはそんなに「ぽく」はないのだけど。
なんにせよ、わたしの好きなミュージシャン同士のルーツがかぶっているの、同世代だから当たり前かもだけど、なんだかとっても嬉しいです。一度2人で弾いてくれないかなあ…なんてw言うだけならタダだし!
話題がそれましたが、とにかくカッコいいオープニングで、これだけでノックアウトされました。ライブでも演奏してほしいなあ…メンバーが一人一人現れて演奏に加わって、最後は全員前を向いて歌うの。そんなイメージ。
・ZERO
初めて聴いたのはラジオでこの曲が解禁された時。
もう、イントロのシンセの音からやられました。バンドの曲なのに、めちゃくちゃに機械的な音、リズム。これはまた新たな場所に歩みを進めている…!と胸が高鳴った瞬間、それを引き裂いて轟くドラム。そこから一気にバンドサウンドが雪崩れ込んできて、鳥肌が立ちました。
疾走していく(けど、決して他の音を置いてけぼりにはしない)ドラムに追随する…というか、V字を作って海面すれすれを飛んでいくような、ベース(ソロの部分がとっても良い、すべらかで爽やかで良い)、ギター(サビのロングランライトハンドが相変わらずすごい)、そして力強くも伸びやかなツインボーカル(『翼はバトンになる』のあべボーカルえびコーラスも好き)。
シンセの音もいつの間にかその連隊に加わっていて、ミスマッチを起こしてガチャガチャするのではなく、どれもが調和して美しい軌道を描いていく。「速い曲があるといい」というような目的で、収録候補曲が大体出揃ったところで書かれたと聞きましたが、勢いや速さだけを重視するのではなく、速くて美しいこと、も追求されているような気がして、心が震えました。滑らかでつややかな流線型にデザインされた新幹線や車が、目にもとまらぬ速さで走っていくのを見ているような感覚。
「二つの光が一つに」というのは、たとえばこの曲ならシンセの音とバンドサウンド、とも言えるのでしょうか。新しいものと昔からあるもの。もちろん、力のあるバンドだから、昔から培ってきたものだけでも音を奏でることはできると思います。が、100周年を迎えてもなお(ツッコミは受け付けません)、新しい世界に、七つの海に、飛び出そうとしている。そういった姿勢は前から見受けられるものの、命をかけるくらいの勢いでタイムマシンを動かすような切実さではなく、並走する海鳥にウインクするちょっとした余裕が感じられる。それがなんだか、再び動き出して10年たった今のバンドの状態をあらわしているようで、ぐっとくるのでした。
MVもめちゃくちゃに好きです。最新技術とレトロチックな空間との融合。これも二つを一つに、と言えるのかなあ。別の何かを掛け合わせた時に生じる雑味が(もちろんいい意味で)ないのがすごいなあ、と思います。
3.大航海2020
ぱかーんと開けたようなイントロのギターに、お!?と思ったところでぽーんと乗ってくるえびさんの声。これえびさんの曲か!!とびっくりしました。意外。もちろんいい意味で。
リズムはヒネたところもあるけど、どこまでもストレートに爽やかでポップ。最後のシャウトも高らか。真夏の太陽を思わせるような、キラキラ感がすてき。
と、思ってたら、意外に歌詞が泥臭いことに気づいてちょっとびっくり。でも、「VERTIGO」とか「道」とかよりは、それでも進んでいくぜ!感があって、なんか良い。爽やか。
そして、なんと、この曲を若い女の子がカバーしたそうな!広島ローカルドラマで流れる曲になったそうな!えびさんの曲をフィーチャーしてくれたのが、なんだか嬉しかったです。そしてそのカバー版も良かった…!
誤解を恐れずに言えば、某兼業農家アイドルバンドのアルバムに入ってそう。たいちさんが歌ってそう。そう思ってたので、なんだか納得。アイドルと相性の良い爽快感なのだなあ。
あと、作曲者直々のオファーで、あべどんさんがベースを弾いているというのも!ド素人のわたしにはどういうところが違うのかはっきりとはわからないのだけど、前からえびさんが「阿部が弾いてるようなフレーズが弾ければ…」みたいなことを仰っていたので、本業でないひとだからこそ出る独特な何かがあるのでしょうか。そうは言ってもそんなことを言えちゃうえびさんはすごい、大人だ。
そしてそれによって、ライブではまんをじしてえびさんがセンターで歌ってくれそうな予感。とても楽しみです。
4.1172
ぷかぷかと波間に浮いているような、南国の浮遊感満載のサウンド。ウクレレのような音を奏でるギターが心地よい。デッドめ(と言うのだろうか)な音のオルガンは、音の出し方が普通とちょっと違うのだそうな。詳しくはキーマガをご参照ください。「うみのみなみの」とか「こじまでこじんまりと」とか「よるはやみのみの(最初『闇の蓑』だと思ってた…)」とか、お家芸(?)な韻の踏み方も、ほわほわした感じを演出しているような。
南国と民生さんといえば、わたしはどうしても「休日」を思い出してしまうのです。だけどこれを聴いて、ああ、なんだか、よかったあ…!と思いまして。
「誰も知らないこの国でひとりで生きられる」という詞で締めくくられる「休日」。最初に聴いた時はそれはそれは衝撃でした。多分それは、わたしが再始動後からのファンで、"うちのボーカル"であるところの民生さんは、いつもメンバーやスタッフとげらげら笑いながら音を楽しんでいる印象があったから。歌詞のすべてがそのひとを表しているとは思いませんが、それでもフェスのサインに(ふざけて、だとしても)"ひとりはさみしい"とか書いちゃう方からそんなフレーズが出てきて、なおかつそれがひたすら呑気に響く南国っぽいサウンドに乗せられているのが、余計に切なかった。
対してこの曲は、なんだかこう、たぷたぷの何かに浸って浮かんでいるような感じがしていて。「探してたものが目の前にある(けど、手は届いてないんだなあ…なんて)」「何かがひとつだけ足りない」と切なさは残しつつ、軽快に奏でるギロにのせて歌う感じ。足りない何かをぼんやりとでも求めつつ生きている感じは、ひとりで、と歌うより健康的であるような気がして、ほっとするのでした。何かを求めるには、それ相応の余裕が必要な気がするので…
さて、その足りないものとはなんなのか。仮タイトルは「1173−1」だったそうですが。1173といえばもう「WAO!」の「愛のキーワード」しか浮かばないのだけど、じゃあもしかしてその足りない「1」って「I(アイ)」だったりする?確かにいとこも妹も「I」始まりだな?…と、ここまでで思考が行き詰まりました。明らかに考えすぎ。
まあ、物事って、こうして少しだけわからない部分や足りないものがあるような、完璧に手が届きそうで届かないくらいの時が、一番楽しいものなのかもしれません。
5.365歩のマッチョ
ぎゅいいいいん!というハウリングするギターでもう、あっテッシーだ!と思ったらビンゴだった。今回も炸裂している!!しかもこの曲はトリプルギターなようで、こりゃあまたライブが楽しみ。誰がどのフレーズを弾くのかしら。
「じゅうにかーい!」「ごじゅうにかーい!」「さんびゃくろくじゅうごっかーい!」のコーラスがとても良いwこれぞユニコーン的な。前にSMAのイベントで演った「SMA」の「ごかーい!ろっかーい!」を思い出す。めちゃくちゃに日本語なのに、絶妙なリズム感とノリの良さで、ハードロックのコーラス(または合いの手)として成立させちゃうあたりはさすがだなあと。「うるう年かァい!!」ってえびさんのシャウトも良い。いい意味で、こういうズバッとしたツッコミをなさるよね、最近w
歌詞はたぶんスポーツジムに行くお話なのだけど、嘘だと言わずw行ってほしい。切実に。毎日でなくてもいい、でもみんなで行ってほしい。ハードなトレーニングとかしなくていいから、栄養士さんとかのアドバイスだけでも受けて…!!と、某体を鍛える系の雑誌のインタビューを読んで大変心配になってしまったわたくしなのでありました。
6.青十紅
あおとあか、と読むそうで。青・赤を内包しているものといえば、空?と思っていたら、当たっていたので嬉しかった(それだけではないかもだけど)。
80~90年代の洋楽のような、レトロというには早すぎる、けどどこか懐かしさのある曲。あべどんさんソロっぽいようで、けれどやっぱり広がりのあるサウンドで、バンドの曲だなあ、と思う。サビでさりげなくボーカルに寄り添ってくるコーラスは、さすが、あべどんさんの"こういう"曲調をわかってる、といった感じ。最後のサビ前のハーモニーも美しい。
わたしはあべどんさんの紡ぐ言葉が大好きなのですが、この曲の「鉄のような言葉」という響きがなんとも、らしくていらっしゃって、きゅんときました。鉄は硬い、重い、錆び付くとザラザラする。鉄人とか鉄のハートとか鉄壁の守りとか、いい意味で使われがちだけど、なるほど、逆にして見ればそうだよね、と。あと、「悲しい言葉は鼓膜を悲しい感じに震わせてしまう」というのも、耳をよく使う作業を生業としてらっしゃる方だからこその表現だなあ。
7.気まぐれトラスティーNo.1
ぎゅうううううってギターに、お、テッシーの曲かな?と思った瞬間それをどかーんとぶち壊してくるボーカル。みなのもの!かにさんだ!かにさんのお通りだー!!
いやこれがやばい。今年還暦のひとの歌か。めちゃくちゃパンク。血管切れんじゃないかってくらいパンク。そしてかっこいい。
ラップの時も思ったけど、まあわたしは基礎的な音楽的教養もないのでこんなこと言うのもなんなんですが、この"川西音階"を生かす手がパンクにあったとは。「脳みそがはぃやぁくっちぃ」とかもう絶妙すぎて…。
これでもかと入れられるスクラッチ、ぶんぶんしたベース、絶妙なタイム感で入れられるコーラスと手拍子。お客さんにやってもらう?なんてラジオで言ってたけど(多分ジョーク)、とんでもない、こりゃ相当な技術が必要なやつですよ…。
後半からグイグイ差し込まれてくる「No.1」という掛け声は、クレジット通りあの方の声をサンプリング?したものなのか。入れ込んでくるタイミングが絶妙。ただし明らかに後半楽しくなっちゃって入れまくってますよね?もっと入れまくってスタジオでゲラゲラ笑ってたりしましたよね?かにさん曲はいつもメンバーの格好のおもちゃになっていて(もちろんいい意味で)、こねくり回されて遊び倒された挙句かっこいいものができちゃってたりするから奥深いよなあと思います。
そして歌詞は歌詞でパンク。今年還暦のひとの歌か(2回目)。でも逆にこのストレートな言葉を説得力を持って歌えるのは歳を重ねたからこそだよなあ、なんて。
ちなみに大航海~と同じく、作曲者から依頼を受けてドラムはあべどんさん。もしライブでやるとしたら阿部の体調が良い時だけ!wとかラジオで言われてた。でもドラム叩きながらコーラスするの観てみたい…やっぱジムに…!
8.55
もう、前情報なしでも、イントロから泣いてしまう曲でした。
民生さんのソロっぽい、けど、淡々とコードを奏でるギターの後ろで鳴っている、ROLIこと板さんが出す不思議な倍音が、やっぱりソロとは違う、異国情緒なのかスペイシーというものか、不思議な感覚を刺激する。ゆっくり、静かに、何かが近づいてくる感覚。
「つええ」と胸の内でつぶやいた瞬間、その高鳴りと同期するように入ってくるバンドの音。
どんどん、どんどん、たとえばドームの屋根がぱかーんと開いた時のような開放感と、上昇していく感じが、曲が進むごとに加速していく。これぞ、と言うべきギターソロも(始まりが、カキーン!という音のようだ)、高らかに叫び上げるサビも全てが力強いし、それをバックアップするというよりは寄り添って、けれど"立てて"いるバンドサウンドがすばらしくて、泣けてしまう。
タイトル、ロゴのフォント、シャツのサイズと髪型、どこから来たのか、自転車、といったキーワードで、まあもう明言してるも同然だけど、はっきりとは言わないのが、らしい。けど、なんというか…カンタンヒキガタビレの広島公演で、「風は西から」のイントロを奏でながらボソッとこぼした「今年も強いですねっ」の一言に会場中がわあっと湧いた時のような、"わかってるやつにわかってもらえばいい"感、そしてそれを理解して受け止めてくれる人達がいるということ、それにもなんだか泣けてしまう。広島の人、あなたのこと、覚えてるよ。
あと、それ以外も、歌詞がとてもイノセントで良い。野球ってもちろんスポーツだけど、観てる方としたら"楽しませてもらうもの"でもあって。だから、名前がアナウンスされて、ネクストバッターズサークルからゆっくり歩いてきて、そんな姿だけでもわくわくするような存在は、それだけでヒーローである気もする。
そして、50を過ぎたひとでも、素で(うっかり方言が出るくらい)「かっこええ…」と心の中でつぶやいてしまうような、次の瞬間にはもう「かっこえー!!」と叫んでしまうような、そんなプレーを観せてくれるなんて。応援団の合図に合わせて「持ってこーい!!」のコールをかけたくなる選手なんて。そうそういない。シンプルだけど、そんな言葉に込められた思いの深さたるや。すばらしい賛歌だな、と思いました。
余談だけれど、わたしにとってのユニコーンも、そんな存在です。つええ。かっこええ。かっこええ!もう何回も音源も聴いたしライブも観てるのに、毎度毎度、そう思わせてくれる存在です。
9.GET WIND 360°
ゆっくりと時を刻むようなピアノとドラム、スライドギター。「50/50」のようなこの雰囲気はあべどんさんの曲?と思ったらえびさんの歌声がして、またびっくり。
終始やわらかく淡々と歌い上げるえびさんを、メンバーが楽器で、そしてサビからはコーラスで周りを囲んでいるような雰囲気がすてき。もう、このコーラスが白眉なのですよ!!それこそ少し古い洋楽のような(完全にイメージで書いています)、レトロなあたたかさとうっすらとした爽快感があるというか。
ベースソロ(だよね?)のあたりのリズムも、ともすれば止まってしまいそうなゆっくりさが絶妙に心地よい。「道」と同じく歩いてはいるし、おそらく「選手交代」の時も感じてはいるけれど、どこか悟ったように淡々と、風に吹かれつつ進んでいるようなイメージが浮かぶ。
「ベリーダンサー」「シャドーボクサー」「レーシングドライバー」とか、このゆっくりであたたかな曲調にはあまり似つかわしくないような、激しい動きをする人たちをあらわす単語が使われてるのも、なんだか印象的。なんか悟ったのかしら、えびさん…。でもなんかこの、時々びっくりするほど高い客観性を発揮されるところ、とても好きです。
10.うなぎ4のやきとり1
たぷたぷのしあわせのうた。と思ってしまった。
ビートルズとかにありそうな(※イメージです)、がっつりバンドサウンドでなく、パーカッションとかアコーディオンみたいな鍵盤とか(メロトロン、よね)、シタールとかが混ざりあった、まさに混沌、という言葉がきっとぴったりな音。だけど、このひとたちの形成するカオスはいつだって心地いい。それが、今回はなぜかあったかさが増し増しになっているように聴こえるのでした。
歌詞はもうシンプル、だけどまたこれがわかる人にしか…UCFCで動画を見た人にしかわからないようなシチュエーション。ファンクラブのテーマ「In the lobby」のMVにも映っていた、でかい窓の部屋で自由にやっているオサーンたちを想起させます。
さ、ん、びょ、う、し、の、きょ、く、だ、か、ら、ス、リー、だ、って、いまだかつてそんな、まんまやん!しかもダジャレ!な歌詞があったろうか。あったかもしれない…けど、口をついて出てきた言葉をそのまま当てはめる自由さを謳歌しているような(おそらく、表向きはそういう風に聞こえるだけで、ちゃんと考えて選ばれた言葉なのだろうけど)、当たり前じゃんうはははって笑いあっているような、そんな情景。映像がなくてもそれを容易に想像できるのが、これまでの10年で「楽しくレコーディング=仕事をする大人たち」像が自分の中に(もちろんいい意味で)刷り込まれているのだなあ、という気がして、それもぐっとくるのでした。
「老いて」という言葉を、これほどまでにありのまま使うというところにも、泣けてしまう。若造が何を、と言われてしまうかもだけど、老いる、歳を重ねるということは"経年変化"であって、劣化だけを意味しないんじゃないかなあ、と最近とみに思うのです。多分それは、まあ他にも色々あるんですが、このひとたちがわたしたちに見せてくれ続けている"楽しんでいる大人の背中"によるところも、やっぱり大きい。
支え合うということ。支えてほしいと表出すること、支えるべき場面に気づくこと、経験をもとに行動して支えてやること。
満面の笑みを見せるということ。自分の気持ちを素直にさらけ出すということ。そうしてもいい、と思える仲間がいるということ。
みんなで出前をとることになって、それが誰かの嫌いなもののお店であっても、角を立てずに別のものを頼みゃあいい。
それはきっと、泣いて笑って、生きて、歳を重ねてきたからこそできるようになることなんじゃないかなあ、と思うわけです。
11.OH!MY RADIO
この曲については別の時にさんざん頭をこねくり回して書いたので(ただし今読み返すのは、、、アクセスするのすら相当な勇気がいる)、とは思いますが。
アルバムの中で唯一、別の時に録られたこの曲がどんな立ち位置になるのか、「裸の太陽」みたいな感じになるのか?と思っていたんですが、びっくりするほど馴染んでいたので驚きました。
「眠たくないや、ダマされていたいや」と言いつつ、魔法=音楽、と共に更けていく夜。前の曲で「老いて」と歌っていたものの、今夜もまだ、ダマされている。その感覚がこんな素敵なアルバムを生む一端でもあるのかなあ、なんて思わせるような、すばらしいエンディングです。
1枚を通して聴いて思ったのは、ものすごく"まとまりがある"ということ。音楽性も嗜好も割とバラバラ、五者五様な印象のユニコーンだけど、そしてこのアルバムの曲たちもそれぞれ個性的ではあるのだけど、なんだかいい意味で似た雰囲気を持っているーーこれは本当に個人の印象なのだけど、あったかさ、どこか満たされている感じ、が伝わってきて、すごくほっこりしました。やばい。大人ってそういう感覚にたどり着けたりするんだ。
例えばとにかく突き進む!とか、走り出した船を軌道にのせる!とか、なんかそんな、前のめりな感じももちろんかっこいいけど、この雰囲気はこの雰囲気で素敵、というかこのひとたちにしか出せない、のではないかなあ、と思います。
もちろん、共通したテーマというか姿勢というか…冒頭で大それた書き方をしましたが、新しいものに踏み込んでいく、それをこれまでの蓄積と融合させてみる、そういうとこはこれまでのアルバムと同じだと思う。でも、やっぱり、新しいものに手を出すにはそれなりの勇気と体力と好奇心がいる。ことに、人生経験を積んできてしまうと、なおさら。けれどそこを、退屈しないように(この表現は映画ボラプでも何回か出てきたけど、芸術家にとって『退屈する』『飽きる』ということは致命的にもなりうるのだなあ、と思った)、自分たちをも"ダマす"魔法を生み出すために、このオサーン達は選択するのだなあ。すごいなあ、と、見せてくれる背中の大きさに頭を垂れるばかりです。
バンドの100周年に対してのコメントの中で、健くんが寄せていた「全ての人にとって~」という言葉。常々、勝手に、なので密かにわたしも、音楽に関しては素人な一介のファンながら、ユニコーンのことは父親のように思っていました。
ステレオタイプ過ぎるかもだけど、背中を見せてくれて、さりげなく方向を示してくれて、たまに、恐ろしく愛情深いあたたかな言葉をくれるような。
だから、お父さんたちがあったかい場所にいて、楽しそうでいてくれると、わたしも嬉しい。とっても嬉しい。
ツアーは長丁場になりそうですが、どうか体に気をつけて、ゲラゲラ笑いながら完走してもらいたいです。
どうでもいいですが、一聴して、上に書いた「あったかい」雰囲気を感じまして。
このアルバムのイメージとして、今にも雪が降りそうな、雲が重く立ち込める寒い日に、あったかくした部屋でブランケットにくるまって、濃いめに淹れたミルクティーを飲みながら聴きたい。などと思っていたのですが。
それってもしかして、、、UCFC特命モデル大臣(正式名称を忘れました)のお姿では、、、
やはり"持っている"お方…さすがですね(※個人のイメージです)。マグ買います。
2018年のライブを振り返る
てん♪てててててててん♪(菊地Pの真似)(文章じゃひとつも伝わらない)
あけましておめでとうございます。2019年、始まりましたね。
年始早々ではありますが、去年、2018年も本当に色々なことがありました。しかし色々なことに(文字通り)忙殺されてじっくり考える間もなく過ぎ去ってしまい、これはあかんなと思ったので、年は明けましたが振り返ってみたいなと。
と言いつつどうまとめたらいいか…とぼんやり思っていたところ、ついったのフォロワーさんがバトンを使って素敵にまとめていらしたのをお見かけしたので、お借りしようかなと思った次第です。バトンてまだあるんだね…!単純にちょっと懐かしかった…
いつも以上に個人的なアレが満載です。って本当に毎回書いてるからそろそろいいんではないか。
▼今年行ったライブを列挙してください
1/1 COUNT DOWN BUMP SHOW!!2017→2018 @shibuya duo MUSIC EXCHANGE
1/21 KIKKAWA KOJI LIVE 2018 "Live is Life" @武蔵野の森 総合スポーツプラザ
2/8 THE PREDETORS Arabian Dance Tour @Zepp DiverCity
2/10 Rockland VS 880-KS vol.33 杉本恭一/AKIRA WILSON @下北沢 CLUB251
3/2 貴ちゃんナイトvol.10 @shibuya duo MUSIC EXCHANGE
3/31 鶴 15th Anniversary「好きなバンドが出来ました」~東西大感謝祭~ @マイナビBLITZ赤坂
4/27 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
4/28、29 ARABAKI ROCK FEST.18 @みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
5/11 奥田民生 MTRY TOUR 2018 @川崎市スポーツ・文化総合センター
5/12 RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.2 @渋谷 CLUB QUATTRO
5/19 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @EX THEATER ROPPONGI
6/8 RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.2 @Zepp Tokyo
6/9 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @高崎 club FLEEZ
6/16 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @盛岡 CLUB CHANGE WAVE
6/22 Road to JUNCTION 2018 vol.2 @下北沢 GARDEN
6/30 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @京都 MUSE
7/1 brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE- @高松 MONSTER
7/14 フジファブリック フジフレンドパーク 2018 @Zepp DiverCity
7/15 J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2018 @横浜アリーナ
7/24、25 ABEDON 「リストなきソリスト」@Billboard Live TOKYO (7/24は2ndステージのみ)
7/30 ABEDON「リストなきソリスト」@Billboard Live OSAKA
8/1 ABEDON「リストなきソリスト」@Blue Note NAGOYA
8/26 UNICORN ファンクラブツアー 「UCFC ビジーファイブ」2018 @BLUE LIVE HIROSHIMA
8/27 奥田民生弾き語り公演「カンタンヒキガタビレ」 @広島 上野学園ホール
8/29 UNICORN ファンクラブツアー 「UCFC ビジーファイブ」2018 @SENDAI GIGS
9/12、13 UNICORN ファンクラブツアー 「UCFC ビジーファイブ」2018 @Zepp Tokyo
9/24 SHINKIBA JUNCTION 2018 ~SMAちゃん祭りジャン~ @新木場 STUDIO COAST
10/13 奥田民生 MTRY LIVE AT BUDOKAN @日本武道館
11/16 Takahashi"Jr."Tomoharu 50th Anniversary Live @下北沢 GARDEN
11/25 the pillows "REBROADCAST TOUR" @渋谷 CLUB QUATTRO
12/4 brainchild's 2018 Ura Omote Kikaku VIP "Veshari In Panties" 10th Anniversary Edition @味園ユニバース
12/6 brainchild's 2018 Ura Omote Kikaku VIP "Veshari In Panties" 10th Anniversary Edition @CLUB CITTA' 川崎
12/7 SMAのド自慢 @Zepp Fukuoka
12/8 the pillows "REBROADCAST TOUR" @水戸 LIGHT HOUSE
12/28 メカラ ウロコ・29 -FINAL- @日本武道館
12/31 COUNT DOWN BUMP SHOW!!2018→2019 @渋谷 TSUTAYA O-EAST
フェスを1公演、ソリストを1stと2ndでそれぞれ1公演としたら計41本?
抜けてるものがあるかもしれないけど多分これで全部。あとウェンブリースタジアムにも行ったような気がしたんだけどな…おかしいな…
ちなみにこれをまとめるのだけでボヘミアン・ラプソディのサントラをまるまる1枚聴き終わってしまいました。えげつねえ…
▼今年一番印象に残ったライブは?
ブログで書いてるやつは大体かなり心に残って、どうにもそれを書きつけたい!と思ったやつです。だから今さらなんですが…
・brainchild's TOUR 2018 -STAY ALIVE-
複数公演行かせてもらって、そのどれもが印象深かったんだけど、特に、を挙げるなら東京と高松でしょうか。あと高崎もよかったなあ。
東京はBD/DVDにもなってるけど、歌も演奏も初めての(そして最大規模の)箱だと思えないくらいのびのびとしたもので、最後の客出しのPANGEA 2018の間中、ただただつっ立って動けないでいた。そんな経験、ライブでは初めてだったなあ。
あとは高松。色々うわー!ってなるイベントごとは多かったけど、特にPANGEA 2018。凄かった。ギターと一体化して咆哮する生きものがそこにいた。だけれどギターばかりが目立ちすぎるのではなく、きちんと曲それ自体の全てがうねりを持つようになっていて、ああこのひとのギターは本当に凄い、と思った。
・リストなきソリスト
これも全てが印象的。実験的な部分も含めて一つの作品であるような、繊細で美しいライブだった。
東京での少し緊張した面持ちも、大阪でお祝いしてもらって照れちゃった振る舞いも、名古屋での晴れやかなお顔も、忘れられません。
ピアノの音はもとより、板さんやiPadのアプリのような、機械が生み出す音でも、あんなにあったかく、繊細な命が宿ったように聴こえるのがとても不思議で心地よかった。静寂も音楽の一部であるのだなあ、と思ったり。
あと音楽はあまり関係ないかもだけど、御利益とその使い道のお話。「善き思い、善き言葉、善き行い」というあの映画の中のセリフを思い出してしまったのだけど、宗教の教えって別のものでもどっか通ずるところがあるんだろうか。
自分の力で人の心を動かして対価を得て、それを他人のために使う。それってめちゃくちゃすごいことだと思う。誰にでもできるようなことじゃないよ。
・MTRY LIVE AT BUDOKAN
おれMTRY好きだわー!!!ってなった。弾き語りもかっこいいけど、ぎゅいぎゅいギター弾いて、ツワモノ揃いのバンドの中でうおー!って歌う民生さんはやっぱりかっこいい。セトリがまたわたし好みだったんだなあ。
翌日もそうだけど、何度も「ありがとう」とか、「またここでやりたい」と仰っていたのも印象的だった。またやるね、今度はバンドで!
▼今年一番楽しかったライブは?
・UCFCビジーファイブ 2018
とにかく楽しかった。第1部がもう。笑った笑った。
彼らはロックバンドだというのに、あんなにこちら側にサービスしてくれていいのだろうか…と申し訳なくなるくらい。ただUCFC会報を読んでその思いは払拭されたのだった。
とにかくわたしはあの5人のグルーヴが好きなのです。それは演奏だけにとどまらないと書いたけど、グルーヴというのはきっと、表出するものに現れてくるから、音楽であってもトークであっても出し物wであっても変わらないのだろうなあ。
でもやっぱり、音楽でのそれが一番、パワーがあって大好きです。だから第2部は楽しいというより印象深い方なのだけど。
あんなに個性がバラバラでキャラの立った5人なのに、どうしてあんなに音楽では大きな大きな「いつつでひとつ」になるんだろう。それぞれのソロの曲でも、ちゃんとユニコーンの音楽になっていた。
ここであべどんさんが板さんを使っていたのがもうびっくりでした。まだ試行段階みたいなことをソリストで仰っていたのに(それでも、かなり使いこなせていたようにお見受けしたけれど)!と。
痛いことを言うと、菊地PがVIPでブライアン先生シグネイチャーモデルを使っていたのもそうなんだけど、新しい楽器を自分のファンに一番先に(音を含めて)お目見えしてくれたということが嬉しかった。タイミングが合ったからとか、ソロで試行したかったからとか、理由は別にあるのだろうけど。なんだか、一番最初にステージで使うワクワクと、試行の過程とを共有させてもらえたということに、勝手に心があったまったのです。
・brainchild's VIP
今年も楽しかった。彼らのトークの、有って無いようなグルーヴが好き。
この方々もとにかく一人一人のキャラが立ってて、なおかつそれぞれの関係性がまた面白い。いじられまくるドラマー2人と冷静にボケる神田先生が面白かったw
ジャ~マネ合田さんやローディーしのちゃん、アシスタント(?)OKDくん、動画担当タナケンさん、カメラマン岩崎さん、などなど、スタッフさんも含めてのプロジェクトなんだなあと、特に思えるこのイベントが好きです。今年は全メンバーでの演奏なのもかっこよかった。大好きな、精神一到何事か成らざらん、ライブで聴けて本当に嬉しかった。
・SMAのド自慢
めちゃくちゃ楽しかったです。
今年は某カウコンですら穏やかな気持ちで見られなかったので、ここでしゅーじとあきらが観られて良かったwキャーキャー言っちゃった。翔やんすごいよ。あと堂島くんも新木場JUNCTIONに続いて面白すぎた。逸材w 丈弥さんもあのツワモノ達に自分をいじらせつつよく進行しまとめてたなあと思うw
あとはラジオのクイーン三昧で、その技術と知識でおじさんたちを感心させていたReiちゃんがとても素敵だった。ソロを観たあべどんさんが、父のようなプロデューサーのような表情で頷いていらしたのが印象的。
そしてこれは印象的だったことになってしまうけど、阿部民によるクリスタルキングの「大都会」。ものすごかった。あの2人の声のパワーが。
凄味とはこういうことを言うのか、ということを見せつけられた。他の出演者の方々のパフォーマンスも面白くてカッコよくて最高だったのに、ずっと審査員席で飲んだくれつつ茶々を入れていたお2人は、出番になると突然どでかい波動砲をしれっとした顔で(やばい!と思って直前に練習したって仰ってたけどw)どかーん!!と打ち、あとにはぺんぺん草もはえなかったのだった。そんな感じ(どんなだ)。
最優秀賞発表の時に民生さんが、ジョークだけど「クリスタル…」って言いかけたのがなんかもう、ふふってなった。多少なりとも自信があったのでしょうかw
▼泣けたライブは?
大体いつも何らかで泣いてるので列挙にいとまがない…
その中でも特に覚えているのは、カンタンカンタビレ@上野学園ホール。
民生さんが「風は西から」のイントロを奏でながら「今年も強いですねっ」とボソッと言ったら、会場がわあっと沸いて。言わないでもカープのことだってわかる、通じ合っている、民生さんと故郷の人たちとの関係性がすごく素敵で、それだけで涙が出てしまった。
▼もし楽しくなかったライブがあったら教えて?
ございません。
▼一番印象に残った曲は?
カーニバル @RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.2
STAY ALIVE、PANGEA 2018 @brainchild's 高松 MONSTER
Beautiful Day、白い虹 @ABEDON リストなきソリスト
デジタルスープ、OH! MY RADIO @ユニコーン J-WAVE LIVE SUMMER JAM
眩しい闇のメロディー @the pillows "REBROADCAST TOUR" 渋谷 CLUB QUATTRO
天道虫 @THE YELLOW MONKEY メカラ ウロコ・29
一番って書いとるやないか!多すぎ!
メカラウロコに関しては、なんというかどこに入れればいいかわからなくてここで言うけども、とにかくかっこよかった。ロックバンドのライブ!って感じだった。衣装はゴージャスだけど普段と比べたらシンプルめで、照明とお約束の特効はあるけど映像エフェクトはなくて。それだけに4人+鶴ちゃんの音のかっこよさが際立っていたような。
リアルタイムで経験してないのもあり、あんまり意味とか過去との関係性とか深く考えられないファンなので、ただただ曲がかっこいいから、という理由でなんだけども、アルバム「8」の曲は今のモンキーで聴いてみたかったからすっごい嬉しかった。しかも生ストリングス入りで!かっこよかったなあ。エマさんのコーラスパートが多かったのも印象的。あとMCもみんなでやっている感が前よりあって、頼っちゃった…とロビンさんはこぼしていたけれど、それはそれでありなんじゃないかなあと思ったのでした。4人いるんだから、どんな荷物も分け合えばいいんじゃないかしら。ただし豆知識系は長引くと思うけどwわたしは好きだからいいけどw
あとはパフォーマンスだけど、高橋jr.さん50歳ライブで、サンディさんの歌とフラダンサーの皆さんの踊りがとても良かった。
▼一番印象に残ったMCは?
・さわおさんの言葉
ピロウズ、というかさわおさんの言葉は、いつでも胸に刺さるように響くところがあって、だけど記憶力がへなちょこすぎるので一言一句きちんと覚えていられることができず、つぶやいたりするのにも、一番、意図が違って伝わるのがつらくてなかなか書けない。
けど、なんだかやっぱり心の深い部分を揺さぶられて、わたしのロック好きの根底に流れているものはこのひとによるものだ、と毎回確信するのでした。
一番印象的でぐっときた言葉は、実はライブMCではなく、映画「純平、考え直せ」のトークイベントで仰ってたことなんだけど、書きませんw
あ、あと、年越し後に言ってたから2018年にカウントするのはアレだけどw 横浜アリーナ公演について「人生最高のライブにする!!」と力強く仰ってたのは本当にもう…胸がぎゅっとした。行きます。なんとしても。あの公演のことを、誰よりも何よりも先にさわおさんの口から聞かせてくれたこと(そしてその場面を来てない人にも動画で見せてくれてること)、本当に嬉しかった。
・STAY ALIVE前のMC
人生は一度きりでアンコールはない、だから一生懸命生きましょう、というようなことを、その場やその近辺であったことを加味して毎回違う言葉で伝えてくれていたのがすごく印象的だった。
前にも書いたかもだけど、個人的に死というのは生のプロセスの中のひとつであって、忌み嫌うべきというより生とワンセットとしてとらえるといいんでないかなあ、と思っていて、でもそうやって割り切れない?部分ももちろんある。だって愛する存在がなくなったらかなしい。切ない。だけど物事は有限でいつかは終わりがくる。だったら精いっぱい、命を"燃やして"生きましょう、と、押し付けではなく自分の思いをふわりと提示する形で、あとは音楽で観せてくれたのがすばらしく心に響いた。
なんというか、わたしは、かなしいとか苦しいとかあと愛おしいとか、そういう重く深い感情にめちゃくちゃ揺さぶられてしまう性質、な割に、自分のこと他人のことを問わずそういう場面に向き合わなきゃならないことが多くてですね。まあしかたないからとにかく感じないように頑張ってシールドを張っていたんですが、 Pの言葉と音楽に触れて、ああ、自分の心を麻痺させすぎだ、とぽろりと気づいたのでした。押し付けがましくない提示のしかたが、すごくありがたかった。勝手に。
・「愛してるぜ!ヨッチ!!」
J-WAVE LIVEにて。あの、これは言わずもがなだと思うんですがw
もちろん、これはあべどんさんによるメンバー紹介の流れで仰ったことはわかってる。
でもなんというか、すごく照れ屋さん(だと思う、見てて)でなかなかはっきりしたことは言わなかったりもするあの方が、そういうことを、冗談めかしてでも口にして相手に伝えた、ということがなんだか嬉しかった。大人ってステキ。
ポジティブな感情は迷惑にならない範囲で(さじ加減が難しいけど)どんどん相手に返してった方が、きっと相手にも自分にもいいよなあ、と改めて思わされた一夜でした。
・「ピアノとこれがあれば、どこにでも行けるんじゃないか」
リストなきソリスト@名古屋にて。上記は大意だけども、"これ"というのは板さんことSeabordという楽器のこと。
ライブを重ねるごとにどんどん新しい発見があったようで、それを感じたままに伝えようと、慎重に選んで言葉を尽くしてくれている感じがして、とてもぐっときた。
ことに、そうやってソロにも気持ちが向いている(誰かに言われたからやってる、というのではなくて)というのは本当に嬉しかったなあ。ソロでなくても何でもそうだけど、このひとの気持ちが前に上に向いているということが、ね。
▼行きたかったけど行けなかったライブはある?
・RISING SUN ROCK FESTIVAL IN EZO '18
これはあの…本当に思い出すのもきついくらい、行きたくても行けなかったフェスでした。
元々10年くらい前から大好きでほぼ欠かさず行っていて、わたしを北海道好きにさせてくれた一因でもあるイベント。
そこにブレチャが初出演、しかもP的にはリベンジも兼ねて、となったらもう、そしてアメリカツアーも大盛況で終えたピロウズや民生さんも出るとなったらもう、どうしても行きたくて。チケットも、幸運にもお譲りいただけて、ものすごく楽しみにしていました。
が、8月初頭、急に体調を崩しまして。崩したというか、まあ本当に緊急に、体の一部を切らなければならないほどの事態に発展しまして。
かなり長い間、痛かったし辛かったし、音楽もまともに聴けないほど体力も気力もごっそり削られてしまい、飛行機移動も難しい、というか外を歩くのもやっとなのにフェスなんてとてもとても、という感じだったので、本当に泣きながらキャンセルしました。
当日、ブレチャの出演時間、居ても立っても居られなくて、STAY ALIVEを聴きながら夕暮れの街を(体力回復のための散歩がてら)歩き回りました。ヒグラシの鳴き声と音が混ざり合って、なんとも言えない気分になったのを思い出します。でもあの時は、外を歩いたり音楽を聴けるだけの体力が戻ってきたことにちょっとほっとしてもいたかな。
とはいえアナログの日記(モンキー手帳に書いてた)を見返したら、どうやら予兆は年頭からあったようで…。
(わたしにとっては)膨大な仕事と多大なるストレス、そしてそれを緩和というか麻痺させるために休日にガツガツと入れたライブやらの予定。ライブや遊びに行くことはもちろんどれも楽しかったのだけど、疲れが癒されるかというとそうでもなくて(好きなものも嫌なものも、まず受け止めるということに体力が必要な性質なので)、自分の中の器がいっぱいいっぱいになっていることを、そしてただただ弱っている自分を、省みることを疎かにしていたのだなあと猛烈に反省しています。
だからこれはバチがあたったとか不運だったのではなく、自分のマネージメントの問題。ライブをそうやって消費するような形にしてしまったことにも、本当に失礼だなと。
最近ではもうそんなことも薄れてきてしまったのですが、2019年からは本当に、自分の人生を第一に考えるようにしなければと思います。切実に。わたしは全てにおいて自分を後回しにしてしまうので、たとえ楽しいことであっても、自分よりそれを優先して無理をしないように。あとは、自分のしあわせを他人に依存しないように。ライブに行っていれば何があってもしあわせ、と思い込もうとせず(もちろん、しあわせでもあるんだけど)、まずは自分がしあわせでない状況にいたら、そこをどうにかしないといけない。
ちなみに、切る作業の直後でごっそりと体力を削られ、音楽はおろか文章も読めなくなってしまったわたしですが(心の筋肉も体力がないと動かせなくなるのだと初めて知った)、その時に唯一できたことが、海の写真を眺めることでした。
偶然手に取った湘南のガイドブックで、ただただひたすら逗子の海を眺めて時間を過ごしながら、ああやっぱり自然というのはすごいのかもしれない、と、あべどんさんが仰っていたことが少し理解できたような気になりました。ガイドブックだから食べ物や雑貨屋さんとかの写真も載っていたのだけど、本当に受け付けたのが海の写真、それだけだったのです。
あとはSTAY ALIVEのインストアイベントかなあ。仕事でどうしても行けなくて。あんなにたくさん開催してくださるのだから、一回くらい行きたかった。まあわたし1人くらいが行かなくても、各地大盛況だったようなので(当たり前)、よかったなあと思っています。
▼行きたくなかったけど行ったライブはある?
行きたくなかったら行きません。時間もお金も有限だし、何より演ってくれる方に失礼だし…
▼今年一番行った会場はどこ?
3回ずつで、Zepp Tokyoと日本武道館。
1stと2ndを分けるならばBillboard Live TOKYOも。
▼初めて行った会場or都道府県は?
・会場
武蔵野の森 総合スポーツプラザ
新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
川崎市スポーツ・文化総合センター(カルッツかわさき、でもいいんだっけ)
EX THEATER ROPPONGI
下北沢 GARDEN
高松 MONSTER
Billboard Live OSAKA
Blue Note NAGOYA
BLUE LIVE HIROSHIMA
広島 上野学園ホール
SENDAI GIGS
CLUB CITTA' 川崎
・都道府県
これ行ったことあるとこを挙げた方が早かったんじゃ…そうでもないか。
思った以上に新しいところに行っていてびっくり。武蔵野の森(ライブでは)とZepp Fukuokaはこけら落としだし。
好きというかまた絶対来る!と思ったのはぶっちぎりで味園ユニバース。
もう、一歩足を踏み入れた瞬間にうわあああ!ってなった。フロアがカオスな宇宙みたいで、いかにもな(どんなだ)ソファがあって、なんといってもステージのバックで光る色とりどりのネオンがめちゃくちゃかっこいい。あそこでX DAYを聴けたのは一生の思い出にしたい…雷鳴のようなギターと稲妻のような照明が相まってそれはそれは格好よかった。
あと昔ながらの電球による電飾もあって、その中で「それでいいの~?」を見られたのもすごかった。これCUEのファンミだっけ?って一瞬思うようなショーだった。会場と舞台との一体感がすごかったw
▼遠征はした?
しましたね。しかし北海道に行けなかったのが多大なる心残り。
▼ライブの前後に起こったアクシデントなどどうぞ
ブレチャのライブのため盛岡に到着した瞬間に、財布を家に置いてきたことに気づいた。
自分でも驚くほど冷静で(現実感がなかったのもある)、しかし調べれば調べるほど自分が詰んでることがわかったので、やべえな…と思ったんですが、珍しく割と多めの額をチャージしていたSuicaと、それだけは別に持っていた小銭入れで事なきを得ました。駅ビルで美味しいものたくさん食べられたし、ドリンク代払って入場してライブもちゃんと観られた。楽しかった。
実は翌日に仙台のインストに行こうと思って帰りの交通手段を手配してなかったのだけど、ネット決済で深夜バスが手配できたのでそのまま帰りました。そしたら当日、東北新幹線が止まっちゃうという…!わたしにはピンチを牡蠣チャンスに変える時間がなかったので結果オーライだった。遠征のせいじゃないけどその日に体調も崩したので余計に/(^o^)\
▼メンバーが投げたものキャッチした?
な、投げキッスなら…(?)
UCFCでえびさんがぽいぽい投げたピックが目の前の床に落ちて、拾おうと手を伸ばしたら隣の人に凄い勢いで取られたことはありました。わたしの方が早かった気がするけど勢いに負けて手を引いてしまった。自分そうゆうとこある…
あ、でも、ヒキガタビレ終演後に樽募金をしたら、テッシーから手渡しでピックをもらいました。ファンタツアーのやつだった。お隣の方があべどんさんのをもらってて、写真を撮らせていただいたのだけど、交換を申し出ればよかったかなあと後から…本当に自分そうゆうとこある。
▼妄想マンセー!今年は何回麺と目が合った?
これわたしがググった(←使いたい)バトンだと入ってなかったんだけど、入れようかなと…
菊地Pならびにブレチャメンバーの皆様と確実に2回。VIPでハイタッチしていただいた時に(ハガシの方々とは合ってないけどw)。
イベント後でお疲れだろうに、一人一人と目を合わせて対応してくださって、本当にありがたいなあと。
あとはPeeちゃんや菊地P。ギターソロ中に、わー!!と喜んで手を挙げていたら、目が合う…というよりこちら、つまりわたし含めた周囲一帯、を見てくれたのが何度か。
優しくてちょっといたずらっぽい、ギターキッズに向けているのだろうなあと思う目線がすごく好き。
あと、さわおさんが銃のようにギターを構えてフロアをぐるーっと見回す時、一瞬こっち向いてくれた、気がする。
▼チケット代、交通費、グッズ代などどれくらい使った?
過去の細かいことは振り返らない主義です(?)
▼今年最後のライブは?
ここ何年も、最初と最後はピロウズ。
カウントダウンを最初としていいのかというアレはあるけども、わたしの一年はLITTLE BUSTERSで始まるんだ!!
▼来年は今年よりたくさんのライブに行きたい?
数は結果なので、たくさんとかってより、行きたいと思ったところには行きたいし会いたいと思ったひとには会いたい。回数は関係なく。
▼来年最初のライブはもう決まってる?
もう済みました。カウントダウンですw
長くなってしまった…こうしてみると怒涛の一年でした。
辛いこともたくさんだったけど、趣味に関しては、色々な方とお話ししたり一緒にきゃあきゃあしたり、素敵なものをいただいたり、温かい言葉をかけていただいたり、ありがたいなあと思うことばかりの日々でした。曲がりなりにも、自分の書いたものを評価していただけたのもすごく嬉しかった。
皆様に感謝を。そしてこれからもどうぞよろしくお願いします。
2019年はわたしの好きなバンド三本柱がこぞって動くので、自分を見失わず、それでいてフットワークよく、また感受性も全開にして、受け止めていきたいと思います。美味しいものにもたくさん出会いたい。北海道にもたくさん行きたい。
昔の自分だったら考えられないくらい、音楽をきっかけに世界と興味と出会いが広がっているので、この先どんな展開が待っているのか、本当に楽しみです。
リストなきソリストのリスト
なつやすみのおもいで
2018.7.15 横浜アリーナ
2018.7.14 Zepp Divercity